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総レビュー数: 1レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年11月26日

9点 B.B.Joker

先のレビューにもあるように、「ストーリー少女漫画の絵で青年誌的ギャグ」をやる、というコンセプトのみに於いて新井理恵の『ペケ』と比較され、不当に評価を下げられてしまう傾向にある作品。

ペケが、同族嫌悪やあるあるネタを主としていたのに対し、B.B.Jokerはそれらに極力触れる事なく「ネタを創る」という姿勢が顕著で、各々の方向性の違いが見て取れる。

系統としては
『傷だらけの天使たち』→『ペケ』
『伝染るんです』→『B.B.Joker』
と考えたほうが妥当。
(若干遅れて登場した美川べるのも「ストーリー少女漫画の絵で青年誌的ギャグ」で、明らかに少女誌以外のものを咀嚼し成功している)

ネタの得意技の一つとして、言葉を弄ったネタ(ダジャレとひと括りにするには少々語弊があるように思う。巧みな前振りを擁する物、ひねり方が尋常じゃない物もあるので)が良くも悪くも目立つが、それ以外のネタの完成度も高い。
分かりやすい所でいえば、要所で挿入される主要キャラクターのショートストーリーに秀逸な物が多い。
ネタの精度の波はあるが、沖津修や生物などのキャラクターに特化したシリーズ、頻繁に混じる単発ものなど、バリエーションは豊かで、豊か過ぎるが故、読者の個々人の嗜好上、どうしても波が出てしまうとも言える。

ギャグマンガとしては珍しく、原作者と作画者の分業体制で製作されているが、全ての巻を通してのギャグと見れば連載終了で解散、というオチもうまくまとまっている。

近年の少女誌ギャグとしては特筆に値する完成度だが、冒頭のような背景もあり、ある意味不運な作品。

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[投稿:2006-11-25 04:43:41] [修正:2006-11-26 22:05:38] [このレビューのURL]

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