「kenken」さんのページ

基本的には「ずらし」の漫画だと思います。
展開としては採用試験、武道大会、怪物との総力戦、父親探しなど少年ジャンプにはよくあるパターンばかりです(例外はヨークシン編のみ)。
しかし、大筋はこのような王道展開でありながら、非常にインパクトのある演出や優れたキャラ造詣のために王道から「ずれ」て新鮮に映ります。
「ここでこいつがこんな死に方を」「少年漫画のキャラなのにこんな表情、発言を」等の小さな裏切りが小気味よく、
さらにそういった「ずらし」を物語が破綻しない程度の物に留めておくサジ加減も絶妙です。
グロ描写も手伝い、普段少年漫画を読み慣れている人ほど衝撃的な作品に思えるでしょう。

しかしこの「ずらし」はあくまで基本フォーマットありきの変化球であり、逆説的にそこから逸脱する事はないとも言えます。
例えば、誰かがショッキングな死に方をしたとしても大局的にどうでもいいキャラである事が多く、前述のグロ描写も規制のためか物凄く半端に仕上がっています。

普通の捻くれ物が一生懸命狂人ぶっているような、悪く言えば「狂い方さえも大体予想がつく」作品だと感じました。
「少年漫画では」という枕詞付きで抜きん出た漫画だと思います。

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[投稿:2008-07-18 19:40:01] [修正:2010-06-05 17:20:37]