「can」さんのページ

読んだ人の感情を揺さぶる力を「漫画力」と呼ぶならば、
新井英樹ほど漫画力が突出した漫画家はそうはいないと思います。
その感情が喜ばしいものかどうかは別として、この作品は読んだ人の心に、確実に何らかの爪痕を残します。
この作品を読んで「何も感じなかった」なんて言う人はまずいないはずです。途中で読むのを投げ出してしまった人でさえ、確実に「嫌悪」という感情に襲われているのですから。

私はこの作品のいたるところに嫌悪しながら、最後まで読むのをやめられませんでした。そして残酷極まりないはずのあるシーンを、不覚にも美しいと思ってしまいました。

先ほど述べた漫画力しかり、この作品は読んだ者を否応なしに巻き込む、途方もないパワーを持っています。作品から発せられるメッセージが強烈過ぎて、私はまだ、自分の中でうまく消化しきれていません。
もう何回かは読み返してみなければ、まともな評価はできないと思います。
(たとえ何回読み返したとしても、正当な評価ができるかはあやしいのですが……)

「点をつけるとしたら10点か0点かなぁ」と、読後に漠然と思いました。根拠も何もないですが、何となく。この作品にふさわしいのは、そのどちらかだけな気がしたからです。
さんざん悩んだのですが、暫定的に8点。これから何度も読み返す予定なので、「8点-何度も読み返してしまうような名作作品」としておきます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-21 01:36:44] [修正:2010-01-21 01:36:44]