「オカシュー」さんのページ

店長(ハヤオ)はいつも果物を飲みやすい100%アニメジュースにして提供してくれる。
ところがこの果実はそのままかぶりついてもイイらしい。

マンガ版風の谷のナウシカ。

皮(グロ)や茎(テーマ性)などで咀嚼しにくいかもしれないが大人になればそんな苦みも逆に味わい楽しめる。
もはや説明不要の宮崎アニメの原作漫画。アニメ版は「ナウシカがすりきれちゃう!」というくらい再放送されている。ただし世界観、登場人物は同じでもマンガ版の物語は深く掘り下げられ彩られている。

それとアニメお子ちゃま論もあるようだが私としては読んだのち、さらにアニメの評価が上がった。大人から子供まで幅広い視聴者層にあわせ主要エピソードを再構成したアニメ版の手際はマンガ版を読んで初めて分かる。 
ジブリブランドの確立に多大な貢献をした作品である事に間違いはない。

しかし良い事ばかりではなく逆にそれが足かせになっている部分も。
アニメが有名で高評価もされたがゆえにマンガ版が広まりにくかったのでは、と察するのだ。(アニメ観たからもういいや的な)

マンガ版は別モノのデキ!アニメの先があるのに!という心の叫びは漫画を読んだ多くの方が賛同してくれるのではないだろうか。
よってこのマンガをレビューし広める事はとても意義があるように感じられる。

目も眩むばかりの素晴らしい設定や環境問題等も織り交ぜた安易に答えの出せない善悪のテーマなどの美点は多くの人が語っている通りだが私がもっとも評価したいのは「キャラ立ち」。
 
キャラクターが立っている。脇を固める面々ももちろんだがナウシカがすんごい。どう説明したらよいかこの魅力ゲージ。
この畳みかけるような肉厚の物語の流れの中で生き生きと輝く主人公。
それは「物語の中のナウシカ」でなく確かに「ナウシカの物語」なのである。

ケチャは言う。「姫さまの事になるとみんな夢中なんだから」。
それもそのはず巻が進むごとにナウシカファンは増えつづけテトや風の谷メンバーはもちろんクシャナ、クロトワ、チャルカ、チクク、皇弟、ムシ使いから果てはおいおい巨神兵まで・・・

ナウシカ好きすぎ。

これはナウシカを好きになる物語と言ってよいくらいだ。
もちろん俺だって読者だって。

「わしらはみんな姫さまに恋しておるのです」

ただ良い作品であるがわずかにあるマイナス点も指摘しておきたい。 
それはアニメと違い実際の動きや音が無い事である。
「そんな事言ったら全ての漫画がそうだろ!」と言われるかもしれないがここまで浸透している宮崎アニメの漫画版だからこそこの悔しさはひとしおなのである。

(アニメ版での)ユパさまの跳躍シーンとか鳥肌モノだったし、大群オームの足の動きかたも(別の意味で)鳥肌モノだった。
だものでマンガを読みながら私の頭の中はアニメの動きの脳内再生が行われている。
安田成美の歌声がリフレインする程に・・・。

宮崎駿にアニメーション監督とか漫画家とか肩書きはいらない。

これがクリエーターの仕事。









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[投稿:2010-06-29 01:01:36] [修正:2010-06-29 02:01:11]