「Scrooge」さんのページ

仲良し女子高生の日常とゾンビサバイバルを足した漫画。
ゾンビ作品においては、ゾンビを何のメタファーとして描くかがテーマになる。

本作品ではゾンビは現実社会の過酷さの象徴。
主人公たちは友達と仲良く楽しく暮らしている。
学校はいつでも楽しい場所だ。だが、いつまでもそこにはいられない。
やがては学校を出て自分の力で社会を生きていかなくてはいけない。
だからこそ友達同士の限られた時間や小さな幸せを大事にしたい、といった事が本作品のテーマ。
ゾンビを導入することでテーマがより切実に読者に伝わっている。

漫画としては作画が丁寧なのがまずグッド。
活動的だったりしっかり者といったキャラの性格や、場面ごとの喜怒哀楽をちゃんと絵で見せてくれる。

また、ストーリーがよく練られているのも高評価。
主人公たちそれぞれの内面がテーマにうまく絡まっているし、
読者をハラハラさせるサスペンス要素も巧みで続きが気になる。

単行本12巻で完結したのでレビューを追記。

物語の途中で主人公たちが学校を離れることになる。
現実(ゾンビサバイバル)からの逃避を断念し学校を卒業する。
力を合わせて過酷な世界を生き残り、新しい仲間と出会い、
人の死に触れて成長する主人公。人類は生き残る。

前半は6点、後半は3点。
後半も丁寧な作り込みだが構成が平凡。
キャラに感情移入したファン以外にはアピールする部分がない。
がっこうで暮らさないがっこうぐらし、の違和感を乗り越えられなかった。
物語、作画とも素晴らしい実力だったので残念に感じた。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-05-19 13:28:27] [修正:2020-01-11 13:57:09]