「とろっち」さんのページ

5点 ES

ESと名付けられたその存在は、他人の脳と容易に同調し、瞬時に記憶を書き換えることが可能。
その能力を駆使すれば造作もなく人の心を操ることができてしまう。
しかし、ESが同調できない人間(=空気の読めない人?)も少しながらいて、その人たちが
ESの暴走を食い止めるために奮闘する、というお話。

作者の持ち味である、乾燥してサバサバした空気感、冷たく淡々とした中での控えめな温かさ、
こういうものが遺憾なく発揮されていて、雰囲気がとても好きな作品です。
ただテーマが大きすぎて上手くまとまらず、無理やり力技で押さえ込んだよう印象も受けました。

もともと話作りはうまい作者なのですが、初の青年誌ということで力みすぎたのでしょうか。
大きなテーマの割にどこか小ぢんまりとした話になってしまったような気がします。
期待しすぎたのかもしれないですが、設定が良かっただけに、面白くなりそうな要素を秘めながら
今か今かと待っているうちに不完全燃焼で終わってしまった感じです。
この辺は読む人によって随分感じ方が違ってくるでしょうね。
あと、そこまでグロい描写はなかったと思いますが、人がバタバタ殺されるので苦手な方はご注意。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-19 01:23:27] [修正:2010-11-19 01:23:27]