「とろっち」さんのページ

競馬と言えば職業不明のガラの悪いオッサン達が怒声を張り上げて熱中するコテコテのギャンブル、
というイメージがまだ強かった時代に、競馬のスポーツ面を重視するという先見の明を発揮し、
しかも少年誌で連載するという前代未聞の挑戦を繰り広げた作品。

少年誌での連載ということで、関係者は相当気を使ったんでしょうね。
ギャンブル性は極限まで薄められ、少年誌向きのスポーツ漫画として描かれています。
ストーリーも、母馬の見事な末脚を受け継ぐものの弱点も多い競走馬と、その育て親とも言える
三流騎手の主人公が、努力して苦戦して力をつけてついに栄冠を掴む、というコテコテの王道もの。

全体の構成としては前述したように、超一流エリートのライバル達を相手に
雑草魂溢れる主人公達が努力と根性を駆使して立ち向かっていく、という古い世代の熱血スポ根漫画。
トンデモ知識やトンデモ調教などもあり、そもそも20年以上前の作品だけに競馬のレギュレーションも
現在と違うところがあるので、これから読む人には読みにくい部分もあるかもしれません。

ただし王道だけに熱くなれる部分や感動できる部分などもしっかり描かれていて、
純粋な競馬漫画としてはさておき、少年向けスポーツ漫画としては良質の部類だと思います。
続編は……、描かない方が良かったかも。

競馬ブームの到来やダビスタの爆発的ヒットなどとともに、この作品の成功もあってか、少年誌にも
その後「みどりのマキバオー」「じゃじゃ馬グルーミン★UP!」「優駿の門」など競馬漫画が増えました。
余談ですが、「みどりのマキバオー」でマキバオーが目指したのが世界最高峰のレースとされる
凱旋門賞ではなく、当時は創設されたばかりの新興レースであるドバイワールドカップだったのは、
この作品で凱旋門賞を先に使っちゃったからでしょうね、やっぱり。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-14 00:09:35] [修正:2011-07-14 00:10:07]