「とろっち」さんのページ

自分にとって初めてのいくえみ作品。
でもファンの人には申し訳ないですが、私の場合は以前1巻を読んだ時点で投げ出しました。
同作者の「潔く柔く」には10点を付けたんですが、この作品はそのぐらい合わなかったです。

ふときっかけがあって読み返してみましたが、うーんやっぱり合わなかったな、という感じ。
一応つながっている話などもあるものの、とりとめもないオムニバスな印象です。
読んでいて気付いたのが、いくえみ綾の作品を気に入るかどうかは即ち、独特の描写で定評がある
いくえみ男子を気に入るかどうかにかかっているのかも、ということ。
で、似た作りの「潔く柔く」では別に何とも思わなかったですが、この作品ではいくえみ男子を
しゃらくさいと思ってしまった。 ここが評価の分かれ目かと。

レビューを「好み」の一言で片づけるのは個人的にあまり好きではないですけど
残念ながら私の表現力では他にうまく説明できないです。
敢えて書いてみると、「潔く柔く」では一本ドンと作品にメインの筋が通っていて、それが上手い具合に
見え隠れするのがツボにはまったのですが、こちらは単なる話の寄せ集めにしか思えなかったこと。
評価というのは読んだ時期やその時の心情によっても大きく変わってくるので実に難しいです。
いくえみ作品では他にも面白く読めた作品はあるものの、全然ダメだった作品もあるので、
私にとって評価の難しい作者の一人と言えるかもしれません。

まあ他作品と比べてばかりでも何なのでこの作品についてちょっとだけ書いておくと、
日常を描いたオムニバス集。 たまに話がつながったりもします。
が、先ほど「とりとめもない」という表現を使ったのは、それそれの話の設定がバラバラなように
思えてしまったので。 作品全体としてのテーマにどうも一貫性がない感じ。
何か大きなテーマで括ってほしかった気がします。
短編の質はベテラン作家だけあってうまくまとまっていますが、自分の琴線に触れるような話は
一つも無かったなという印象です。

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[投稿:2011-10-18 01:25:31] [修正:2011-10-18 01:25:31]