「s-fate」さんのページ

スーパーカーと言ったらこの作品、この作者だと思います。
ただ、意外とブームの中心にいたカウンタックとかフェラーリBBとかはほとんど出てきません。
 設定を冷静に見ると、主人公はモデルやってるお姉さんとマンション暮らし。二輪の族上がりで姉さんに外車(ロータス)買ってもらって乗り回していて公道レース三昧。メインのライバルである早瀬左近も社長の息子。で暴走族「ナチス軍」の総統。主人公の恋人は早瀬の妹。いわゆる感情移入とかできる要素がカケラもない金持ちのボンボンどもがイキがってる設定と言えなくもないです。
 しかしこのマンガの面白いところは、もっとわかりやすいところにあります。当時車、それもスーパーカーの類は見ることさえレアですから、それが誌面で見ることができること、これだけで当時の子供は熱中したと思います。そしてちょっとしたウンチクでレースが盛り上がること。「スタビライザーが外れやすいのが欠点」「2速の伸びはこちらが上」「ターボラグをカバーするのがコーナーの立ち上がりの鍵」とか子供が読んでも何だかわからない話でも、妙にリアルで面白かった。作者本人が乗っていた車も多々あったようですので、リアルさはその辺りからかもしだされていたのかもしれません。ただし中盤頃からわかりやすい必殺技を繰り出すようになりますが。
 個人的にはロータス乗っていた頃の「パワーの差はコーナリングでカバーする」というハンデを持ちながら最後はボロボロになってゴールする公道レース編と公道レースで死んだもう一人のライバル沖田の車を作り替えて出場した流石島レース編が密度が濃くて面白かったです。
 今読むとなると、どうでしょうね。10年くらい前は一部の自動車評論家にネタにされていましたけど、当時を懐かしむ目的か、車が好きな人でない限り、置いてきぼり状態になるかと思います。個人的には日光レース編くらいまでは何度も読んだので8点とします。
 なお、文庫本等で「サーキットの狼?」となっている「モデナの剣」は、基本的に別物です。あっちは青年誌掲載で、バブル時期の作品のせいか、「良い車と良いネェちゃん!」という直球すぎる設定がアレなもので。

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[投稿:2011-05-11 01:24:20] [修正:2011-05-11 01:24:20]

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