「ITSUKI」さんのページ

ジャンプの看板漫画の中でも、これだけは一度も読んだ事がありませんでした。

明治時代を舞台として、実在の人物や事件もからめてくるため、時代設定にリアリティを感じる事ができます。
そういう面を持つ漫画はジャンプで珍しいし、面白い所だと思います。

しかし、現実に近い舞台設定だからこそ、超人的バトルに違和感を覚える場面が多々ありました。(剣で殴って天井めりこんだり、見えない速さで動いたり)
日本刀で戦うとなると、他のファンタジー漫画やバトル漫画と違い、日本刀なら何ができるかという事が剣を実際ふるった事がなくてもなんとなく知っている為、剣心の技の数々に「ねーよ」と突っ込みが入ってしまい、バトルにのめりこみづらかったです。

キャラクターは、主人公の剣心は憎めない感じの魅力ある奴でした。
弥彦は後半竹刀で一線で戦ったりするのはどうしても違和感ありましたが、北斗の拳のバットの様に主人公の闘いを身近で見て成長し、後継者となるという描き方は良かったと思いました。
残念なのは敵キャラに魅力ある奴が少ない点です。性格が典型的なかませキャラなのが多すぎる。デザインも作者の反省のとおりアメコミとかゲームのキャラみたいなのが多くて時代の雰囲気と合わない。北斗の拳ばりにデカイキャラ達もなんでいるのか、この世界ではどうやっても説明付けられない。
雷十太、宇水など初登場時は「おっ」と思ったのに話が進むと「なんだこんな奴なのか」とがっかりする事も多かった。
しかし、その数ある敵の中で志々雄真実と瀬田宗次郎は最後まで底知れない雰囲気を持つ魅力ある奴でした。
志々雄の最後は名場面でしょう。

よくストーリーは後半がいらないというのを目にしましたが、京都編で終わりにしたらせっかくの「不殺」のテーマが台無しだと思いました。人誅編は過去を掘り下げ、剣心はどうすれば贖罪されるのかというこの漫画のテーマを明らかにする為に必要だったと思います。あってよかった。
しかしやはりここでもストーリーが無駄に長引いてしまったり、敵が無駄に多くなったりという指摘する点は多いです。全体的に作者の力量が不足している印象で構成がイマイチ。
「ダイ大」「ドラゴンボール」「封神演義」の様に「世界を救う」というストーリーを先に京都編でやってしまったため連載の最後にピークを持ってこれなかったのが残念なところでしょうか。
しかし、悩み抜いた末に剣心が出した答えは感動しました。

また、作中で二回縦2ページにわたる見開きが描かれるのですが、縦の見開き自体珍しかったのでとても印象に残ってます。

全体としてはこれが当時看板だったのか・・だったら封神の方が構成とかうまかったなぁという感想なのですがw面白い点は沢山ある良い作品でした。

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[投稿:2009-11-29 06:55:32] [修正:2009-12-02 04:57:35]

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