「朔太」さんのページ

警察組織に2つの特殊部隊組織があって、すなわち
SAT:警視庁警備部特殊部隊 Special Assault Team
SIT:警察庁刑事部特殊捜査班 Special Investigation Team
が凶悪犯などの排除、要するに狙撃も厭わない特殊部隊です。

しかし、日本という平和ボケした国家では、様々な制約があって、十分なコンセンサスが
得られているわけではない、という前提を理解しないと、この作品は楽しめません。
というのも、主人公たちの所属する新組織は、すなわち
NPS:警察庁特殊急襲捜査班 National Police Safetyrescue
の架空の組織なのですが、上記2つのS組織に加えて、必要性が理解しにくいのです。

読み進めますと、本来SATだけで十分なのですが、国民に十分必要性を認知されるためには、
排除ではなく確保を使命とする組織がその前に必要ということで組織化されたようです。
が、当事者のリーダーはその思惑以上にリベラルな考え方で、同時に主人公神御蔵は
拳銃を持たないで凶悪犯の前に立つ平和主義者なのです。

本作品の難しさというか、今一歩感情移入できないところがあるのは、SATやNPSに対して
イデオロギー闘争があって、どうやら原作者は主人公であるNPSに肩入れしているらしい
のですが、普通に考えてNPSなど不要で、SATを強化すべきと思えるところが原因です。
どう考えても凶悪犯の前に丸腰で立つ警官など非現実的でしょう。
だから、副題、”最後の警官”なのでしょうか?

娯楽作品としては、SATに一人で立ち向かう元警官の野戦は、良く練れていましたし、誘拐編も引き込まれました。

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[投稿:2017-01-09 17:24:45] [修正:2017-01-09 17:27:57]

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