「朔太」さんのページ

7点 SOIL

カネコアツシという漫画家を本作で初めて知りました。
筆ペンで描く世界感が極めて秀逸です。

おどろおどろしい背景はそのまま狂気に直結して
しまいそうな雰囲気を常に醸し出していて、
それでいて正気の論理は一つ残っているので、
単なるホラーでもないことに安心できます。
例えば、鈴白一家失踪の謎が10巻辺りでキチンと
説明されていたのは、21世紀少年とは異なり
フラストレーションを解消してくれています。

読み始め当初は、本作は非科学的現象を積み重ねる
SFあるいは人や集団心理の狂気を扱うホラーなのか、
あるいは伏線はりまくりの駄作なのか、
判断しかねるところがありましたが、
最終的には満足させてもらえました。
とはいえ、エピソードや枝葉の話も多く、雰囲気
つくりや謎かけ場面が多いので、結果的には無駄に
長話になったようにも見えます。

私は単行本で一気に読んだので苦にはなりませんでしたが、
連載中の読者なら多分途中から興味を失っていくだろうと
予想されます。

ドラマでいえばツインピークスのような名作の匂いを
漂わせつつ、根気よくついてくる読者を選ぶ作品という印象です。

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[投稿:2017-07-21 19:53:41] [修正:2017-07-21 19:53:41]

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