「朔太」さんのページ

あだち作品は相当の数を読みましたが、その中ではストーリー
の変化に乏しくサプライズも最終回だけ、はずれの方の作品でしょうか。
特に、変装してまで同時に別人とデートや旅行をするくだりは、
ナンセンスで長くつまらない不要な部分でした。
ソフトボール漫画だったはずが、途中からはどうでもよい
状態になりました。

と言っても、あだち作品はどれも同じ類型の思春期の高校生が
織りなす学園生活とスポーツと家族、三角関係という舞台が
共通してますから、作品ごとの差はつけにくいです。
大いなるマンネリと言っても良いのですが、それはそれで
数十年にわたり確実に支持者が存在します。

その秘密を文庫本4巻の巻末で山崎哲氏が長文の解説をしています。
かいつまんで紹介しますと、「主題は“性”である。しかも
思春期の男でも女でもない中間期の性である。
したがって、好きになった者同士が結ばれる恋愛ではなく、
思春期の性は選び直しをする過程、すなわち恋愛の準備
段階にある。家族からの離脱、三角関係は、必要な舞台で
ある。」とのことです。

やや難解な表現ではありますが、思春期の中間的な性は
確かに存在するし、誰もがその段階を経て大人になって
いくことを経験しているから共感を得るのだと要約できます。

大人の恋愛以上に中間的性時代の淡いざわざわした気持ち
を懐かしむ若い人も含んだ大人が多くて
、支持されるということでしょうか。

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[投稿:2018-09-11 18:12:29] [修正:2018-09-11 18:12:29]

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