「朔太」さんのページ

5点 RED

西部開拓時代を終えた米国建国時代における滅亡
インディアンによる壮大なスケールの復讐劇でした。
復讐される側にも主人公を支える側にも多くの
登場人物が配されており、丹念なキャラクタ作りが
印象的でした。

しかし、枝葉を取り除いて考えて見ますと、
当初より主人公の怨念は終始一貫しており、
敵が入れ代わり立ち代わりするだけで、
最後には復讐をどのように果たすのかだけが
関心でした。

19巻もの長さの割には全て予定調和であり、
予見できる物語でした。
そのような意味で読者の期待を裏切る意外性はゼロですし、
ストーリーも平坦過ぎるくらい平坦でした。

見るべきものは、主人公を支える仲間たちの友情と
動機の説明となるサブストーリーにありました。
これも村枝氏の友情に対する考え方が全ての人間
関係に共通しているのですが、兎に角寝食を共にした
人間は友人であり、ひとたび友情が芽生えれば、
命を懸けてもそれに拘り続けるパターンです。
あるいは友情に背いて裏切りをした男の傷心を
終生背中に背負っています。

そんなステレオタイプの登場人物とお話が延々と
繰り返される印象です。
セリフも格好の良いものが多く出てきますが、
何を言っているのか意味不明なものが多く、
少年誌向け作品かと思ってしまいました。

全巻読み通しましたが、銃撃戦や決闘により死んだ
登場人物の主だったところでも50人はいそうです。
端役も入れれば300人程度かなあ。
そんなことで大河ドラマを見るような長編大作になって
いますが、私にはとても単純な数巻でまとめられる
ような内容の薄いドラマを見た感じだけが残りました。

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[投稿:2020-05-06 06:34:52] [修正:2020-05-06 06:34:52]

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