「朔太」さんのページ

料理漫画ではあるのですが、主人公の専門である
フランス料理を中心にして、料理の力で外交相手の
機微に触れながら、懐柔していく手腕が見どころになります。

公邸料理人が一流の料理人でないと務まらないのは
理解できますが、外交の一翼を担うというのは、
やはりフィクションだろうと思ってしまいます。
よって、ストーリーに説得力を高く期待しがちです。
なるほどね、と納得できる回はそれほど多くなく、
なんとなく最悪の事態は免れたというような
お話が多い気がします。
それでも料理ごときで国益が守られたということが結末にあります。

欧米を相手に外交を進めるお話よりも、中国を
相手にした回が比較的スリリングな展開ですね。
主人公大沢公ではなく、弟子の青柳が活躍した
香港領事館の編が一番面白く感じました。
欧米人やベトナム人、韓国人に比べて、
外交的にタフに感じるせいでしょうか。

もちろん、料理に対する薀蓄も沢山出てきます。
フカヒレというのは中国近海では獲れないので、
実は干しナマコと干しアワビと並んで「俵三物」と
呼ばれる日本からの輸出品だとか。
やはり驚かされます。

一言でいえば、絵も可愛く読みやすく、
外交の価値や重要性を理解することができる点で、
優れた料理漫画作品でした。

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[投稿:2021-01-11 06:51:29] [修正:2021-01-11 06:51:29]

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