「shinpe-」さんのページ

シェイクスピアという人間の不可思議さ。それは物語の洗練され方と彼自身の人物像の乖離にあります。都会的かつ奇を衒わない王道を行き、人間の存在の不条理そのものを深くえぐるような物語を書きながらも、彼自身は何てことはない田舎者だった。王族でも無ければ貴族でもない。そんな彼がなぜ、シェイクスピアたりえたのか?物語はこの疑問からスタートしていくようです。

もちろん史実なんてどーでもよいのですが、ハロルドさんはきっと虚実を織り交ぜながら、物語の深みと面白さを獲得していくのだと思います。この人は本当に、人間を描くのが上手ですね。歴史物だろうがバンドだろうが野球小僧だろうが無口な高校生だろうが、その才能は遺憾なく発揮されているように思います。

現行で発売されている一巻は、チャイナタウンとそこに生きる不思議な少女の物語です。当時のリヴァプールで生きる中国の人々の生活をハロルドさんらしいコミカルさを忘れないタッチで描いています。もちろん悲哀と辛さがしっかりと描かれているわけですが。彼女が果たして7人のうちの一人なのか。そんな無粋な推測をしてみたくなる僕のような方は、読んでみることをお勧めします。

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[投稿:2010-06-18 17:19:49] [修正:2010-06-18 17:19:49]