「shinpe-」さんのページ

続編(そう言っても問題無いですよね?)の「愛知りしりそめし頃に」と併せてのレビューをを書かせていただきます。

僕らの大好きなマンガというメディアを創り上げてきた先人たちへの尊敬と感謝の念を新たにする作品です。敗戦後の富山における二人の少年の出会いが物語の始まりです。それが後の藤子不二雄である事は、皆さん御存じの通りです。

切磋琢磨、という言葉がこれほど似合う作品はマンガのみならず、小説や映画までを視野に入れてもそうそう無いんじゃないでしょうか。満賀と才野の関係はもちろんの事、トキワ荘の仲間たちと紡ぎあげて行く成長譚は、読んでいて羨ましくなること請け合いです。たぶんA先生がこの作品に込めた思いは、自分を支えてくれた人への感謝の気持ちだったんだろうな、と自然に思ってしまう作品です。

上記の気持ちと少しベクトルは違いますが、「才」野という名前それ自体がF先生への畏敬の念であるような気がします(下記レビューでとろっちさんがかかれていらっしゃるような気持ちの)。

現在のような市場規模もなく、社会的な地位なんてあろうはずもない。「まんが道」がまだけもの道だったころ、主人公たちは皆、本当に手塚先生を北極星として道を進んでいたんだなと実感させられます。宝塚での出会いのシーンをはじめ手塚先生の登場シーンは読んでいるこちらの背筋も伸びてしまいました。マンガを愛する人なら一読の価値以上の物があるマンガです。

余談:他のマンガ(BECKなど)におけるオマージュの元ネタをいくつか見ることが出来ます。宝塚での手塚先生との出会いが、コユキと千葉がマーシー(マーちゃんさん)に出会うシーンまんまだったのは笑った。そういう楽しみ方もありだと思います。あと「愛しりそめし」の手塚先生の初登場が自分と同い年だったことに驚愕…と同時にもっと頑張らねば、との思いを新たにしました。

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[投稿:2010-11-14 09:48:11] [修正:2010-11-24 19:34:07]