「臼井健士」さんのページ

17巻にも及んだ「クロスゲーム」です。
あだち作品で野球が題材とされる際は「甲子園」は目標であって、話の終局であるわけです。
なので、決して「甲子園に行ってからの試合内容」は描かれることはありません。
常に「甲子園に出場するまでの戦いの軌跡」に留まるのです。

「タッチ」「H2」に続く野球ものであるこのクロスゲームでもそれは踏襲されます。
しかし、この作品では「意外な形での幕引き」を描いています。
この幕引きは予想外でした。なので野球面では良いと思います。

残念なのは恋愛面で、特に青葉たち四姉妹の従兄弟の「朝見 水輝(あさみ みずき)」は一体何のために登場してきたのですか?
野球やっていないから全然話の中心に加われず、最終回では傷心のまま行方不明って・・・・・(唖然)。
登場させる意味がなかったではないですか!

さらに滝川あかねが亡くなった若葉にあれほど生き写しなのに「単なるソックリさん」では理由付けに乏しいと思います。
まだ幼い頃に他家に養女に貰われていた「双子(一卵性双生児)の姉妹の片割れ」のほうが納得がいきました。
(つまり四姉妹ではなく本当は五姉妹だったというわけ)

光が何故、あかねよりも青葉を選んだのかもイマイチ不明ですし。
「あだち版若草物語」はローリー(光くん)、ジョー(若葉)が亡くなってエイミー(青葉)と結ばれました。
でも、心の底から納得していません。野球面のよさが打ち消されてしまったようで残念です。

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[投稿:2010-07-27 20:58:14] [修正:2010-07-27 20:58:14]