「臼井健士」さんのページ

まず目を引くのはアニメ化しやすいんじゃないかな(話の内容は置いといて)?と思う、見やすい絵柄。予想通りにアニメ化されました。
ヒロインも可愛らしい。
・・・・・・・・・・・・が、この「絵柄」で話の内容を想像すると大多数の読者は「足元をすくわれる」こととなろう。

やるのは「12人の予知能力者同士の殺し合い」である!
主人公は平凡な14歳(おそらく)の中学二年生男子。
但し、人付き合いを避けて空想の世界に閉じ篭っている。
趣味は携帯で日記を付けること。決して暗いというわけではなく、オタクという雰囲気を漂わせているわけでもないのにいつも独りぼっち。
そんな少年の空想の中に登場する全てを支配する「神」。空想の産物と思っていた神がある日、突如として実体化する。
与えられたのは「携帯の日記に記される自身の未来」。
気まぐれな神は少年と同じく「日記に記された未来を見ることができる能力」を彼以外に11人に与え、自らの後継者を選抜しようとする。
その選抜の方法こそが「候補者同士の殺し合い」なのだ!

同じクラスの美少女「我妻由乃」(がさいゆの)は、同じく「未来日記」を見る力を与えられた11人のうちの1人で、主人公に異常な執着にも似た好意を寄せる。彼女の異常さに辟易しながらも「共同戦線を張って」他の候補者たちとの戦いの幕が切って落とされた。

由乃の日記は記す。「7月28日の夜、主人公と由乃は結ばれる」と。
果たして、主人公は3ヵ月の後に褥の中に由乃を抱いているのだろうか・・・・・・?

話は「デスノート」をもっと過激かつ直接的にしたものというと分かりやすいか。
月と、月に惚れるミサの関係に「主人公とヒロインの立場はかぶる」。
けれど、月と違うのは主人公は決して「世の変革を望んでゲームに参加した」わけでなく、巻き込まれた受身の立場であること。
否も応もなく降り掛かる火の粉を振り払っていかなければならないという環境は、平凡な日常に流されがちに生きる多くの読者の目線の投影でもあるはず。そういう意味では、視点はデスノートより全然身近だ。

最も身近な協力者である「由乃こそが最後の最後に立ちはだかる存在」となるようなことを暗示する描写がなされている。
受身で周囲に無関心。
自分の殻に閉じ篭っていた主人公が「死の危機」によって追い詰められることで、自らの意思で戦い、運命に立ち向かう男になっていくことがテーマのひとつか?

「1人の男となって、1人の女である由乃を自らの意思を持って抱けるか?」はきっと、その象徴。

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[投稿:2010-12-24 07:01:09] [修正:2012-08-10 08:13:06]