「臼井健士」さんのページ

[ネタバレあり]

百年の伝統を誇る超名門の「紅華歌劇団」。毎年1,000人を超える女の子が受験して合格者は40名という狭き門。
元アイドルの奈良田愛はその狭き門を突破して40名中22番の成績で合格する。
記念すべき第100期生に名を連ねたのである。

だが、この年。最終合格者の第40番目の最後の席を獲得したとんでもない女の子がいた。
初対面であまりにも目立つ178センチの長身。カモシカを思わせる長い手足。卓越した運動神経。
歌も踊りもまだ未熟でこれまでの歌劇団の選考規定であったならば落選していたであろう規格外の存在。
そして何もよりも印象的なのは緊張など無縁で、選考の面接で審査員を驚かせた「星の煌きを宿す瞳」である。
その少女「渡辺さらさ」はそのスター性のみを評価されて入学を許されたといって良かった。

当然に全国から集まり厳しい審査を通過した他の39名のクラスメイト達は奇異と戸惑いの視線を彼女に向ける。
楽器も弾けず、基本的な音楽の知識もない、さりとて入学に繋がるような縁故もない彼女が何故試験を突破できたのか?
同級生たちですら首を傾げるのだった。

入学後も型に嵌らない彼女の存在は次々と騒動の火種となっていく。
とある理由からアイドルグループを辞めさせられ、行き場をなくしていた愛にとってもさらさは理解不能な存在だった。
クラスメイトたちは共に学ぶ学友であると同時に将来の職場で役柄を争う好敵手でもあるのだ。
・三代続けて音楽学校入学を果たしたサラブレッド。
・バレエの名手で海外への留学の話を蹴ってまで歌劇学校に入学した優等生。
・昨年も受験したが双子の妹が不合格だったので再受験の末に姉妹で合格した双子。
その他にも地元では才女として知られていた娘や幼い頃に劇団に所属して子役として活躍していたなど多彩なメンバーであった。

そのクラスメイトたちが何故かいつもさらさを気にしていることを当の本人たちは気が付いていない。
そしてそれは「愛も例外ではなかった」。
それは時に反発し驚嘆する出来事の連なり。
星の煌きを瞳に宿す太陽のようなヒロインの物語。
みんなみんな「太陽がまぶしかった!」

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[投稿:2016-04-16 22:58:54] [修正:2016-04-16 22:58:54]