「メカガメラ」さんのページ

7点 HELLSING

ヤングキングアワーズにてトライガンマキシマムと双璧を成す看板マンガとして同誌を支えてきた作品。
両作は読者層もかなり被っており、マンガ好きの間でも同系統の作品とくくられることが多いが、実際には対極の関係にあると思う。

トライガンはその圧倒的な情報量とスピード感を詰め込んだ圧巻のガンアクションと、SF的背景による壮大なストーリーを売りにした、極めてマンガ的なエンタテイメントとなっている。

それに対してヘルシングは、ブラム・ストーカーのドラキュラやナチスなど、文学や史実のような、比較的マンガとは距離のある深みのある要素を絡めて、知的且つ叙情的に仕上げた、マンガよりむしろ「芸術」に近い作品だ。

だからこの漫画を楽しむ術は完全に知識と感性に頼る他はない。
このどちらか一方が欠ければ、このマンガの楽しさは著しく損なわれてしまうと思う。
逆に言うと両方の要素がガッチリフィットする読者は、究極の傑作としてこのマンガを楽しめるだろう。

ただ、不満点もある。
連載当時、特に後半のこのマンガは減ページと休載を連発していた。

16ページしか掲載しなかったと思えば翌月は休載、
ようやく載ったかと思えばアイランズ卿達おっさん方の茶飲み話で時間稼ぎ
(しかも8ページ)・・・
とこんな調子で、後半はちっとも話が進まなかった(コミックス収録時はまとめて読めるし、掲載時の数話分を合体して一話にしているのであまり気にならないかもしれないが)。

そして、それほど時間をかけた割にはあっさり物語は収束。
たしかに味わい深い纏め方ではあったが、これだけ焦らされてテンションの下がった身としては、あまりにあっさりしたラストに不完全燃焼感は否めなかった(多分リアルタイムで読んだ読者なら共感してくれる人もいるのではないだろうか)。
これだけ作者のペースが尊重される環境だったならもっと面白くできたんじゃないかと。
あと、読者の期待感を煽るだけ煽って放置した番外編も罪づくり。

これらの不満点を差し引いて7点。

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[投稿:2011-07-25 00:00:30] [修正:2011-07-25 00:11:20]