「頭突き串の寿司」さんのページ

最初に断っておくと、自分は作者の自殺を知ったあとにこの作品を手に取った。(というか、自殺報道でこの作者を知った)
未完終了ながら多くの人が「読む価値がある」と評していたので気になったのだ。
そして結果から言うと、読む価値はあった。
ていうか、なんだこれ、めちゃくちゃ面白い。

まず今までに見たことのない題材。
「宗教」と聞くとなんだか怖いイメージがつきまとうがそれは本質を分かっていないがためなのかもしれない。
「みんなのせかいをよりよくするために」という大本は政治となんら変わらない。

その題材が決して出オチではなく、ちゃんと描き切れるだけの設定や考察がある。
学校のクラスというのは社会の縮図だ。その場所でクラスメイトをまとめるために、小さい組織から作り上げていく過程が面白い。
このあたりにはスクールカーストといった裏テーマもあるのかもしれない。

宗教勃興を企む主人公の言動が小4とは思えない…というのも分かるが、
宗教というものを無邪気に信じ、かつクラスのなかに上下関係が存在する、となるとたしかに年齢の設定が難しいよな。

・「宗教は必要か」という根本的な論争
・既存の宗教との共存(親が新宗教団体に入信している児童)
・異端の発生(宗派の分裂)
・教団の暴走(遠足中のバスジャック)
・生徒による教師の性的支配
などなど、2巻に収録されている今後のプロットを見る限り、このまま続けていればマンガ史に残る怪作になったのではないか。
なんにしても自殺はダメでしょ。残念としか言いようがない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-03-02 23:04:26] [修正:2014-03-03 00:17:11]