「久」さんのページ

[ネタバレあり]

(今更ながら32巻まで読)
王道少年漫画ではあるものの、他とは違う点が多く楽しめました。

・敵組織において信頼し合っている姿、友情を感じ大切にし死んだ事で涙を流す、
そんな姿に戦う相手が"敵"という概念が崩れ"相手"と思うようになりました。
単純な完全懲悪で終わらず、相手側にも戦う理由や守りたい仲間があり、そこに主人公達がぶつかり
葛藤を生み出すというサイクルがとても良い。

・勝つ為にどうすれば良いのかを考え相手を深く分析しようとし合う姿勢に全力感を味わいました。
また、少年漫画なのに自分の命を守る為に戦闘を避けようとする部分にも感動。
運が良いから何となく勝ったなんて事は無く、勝つべくして勝ったと納得できます。
しかも大体相手側の方が圧倒的強さなんて事が多いので感動は倍増します。

・打ち合わせ無しで作戦を進めなくてはならず、しかもそれが命に係わる場面。
仲間がどう動いてくれるか分からないまま行動しなきゃならないという不安を強く感じます。
でもゴン達は信頼しあってるからこんな事ができたのでしょうね。

・主人公サイドが負ける筈無いという常識を覆したりと、先の展開が全く予想できない。
先にも大きく影響する大事な場面ですら敗北してしまうのですからね。
「このこのまま勝って次に進むんだろうなー」なんて思って読んでたので驚きの連続です。

そして、一番好きなのはキメラアント編です。
ゴンとピトーのやり取りと、メルエムとコムギの関係に痺れましたので。

・ピトーとのやり取り
大切なカイトに酷い事した奴が今は必死に女の子を助けようとして、
その必死というのも全面的に降伏し命をさらけ出した状態で、それを知ってしまったゴンの
やり場のない怒りを本当に強く感じる事ができました。
命がけという言葉をピッタリ当てはめる事ができる数少ない漫画。
前まで圧倒的に強かったピトーをここまで追い込めるとは。
あれ程まで緊張しどうすれば良いのか分からないと感じた事は無く感情を揺さぶられ、
そんな演出力に涙が出ました。脱帽です。恐ろしい…。
そんな中でゴンがキルアに「関係ないから」と言ってしまう心理状況も、
それに対するキルアの悲しい表情もダイレクトに心に響きます。

・メルエムとコムギの関係
崇拝され全世界の覇者的存在へとなるであろう王が、
軍儀しか取り柄の無い脆弱な命の女の子に心を乱されているのが何とも興味深かったです。
そして、メルエムの死に際の「コムギという人間に会いたい」という純粋な願いも感情移入ができ
感動する事ができました。

幽遊白書の魅力を全く理解できなかった自分にとっては序盤が少し苦痛でしたが、
キメラアント編が始まる18巻まで頑張って読んで大正解でした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-06-22 09:17:45] [修正:2015-06-22 09:19:20]