「プリ」さんのページ

[ネタバレあり]

全巻電子書籍で読みました。気軽に読めていいですね。

全体的な感想は「軽い」そして「詰め込みすぎ」

まず、第一部「若葉の季節」はとてもよかったです。
若葉が素直に好意を伝えてコウと仲良しな雰囲気はとても
微笑ましいし、青葉がコウを毛嫌いしているというのも
自然に理解できます。
若葉と死別する場面はあっさりしすぎな感じもしますが、
最初はなかなか状況を理解できなくて、泣けばいいんだと気づいて
涙を流すシーンなんかはリアルで素晴らしいと思います。
また若葉の誕生日プレゼントの予定表も、それを毎年叶える
コウの描写もすごくいいです。

またコウが、年下ながら青葉のピッチングに憧れて
野球を始め、男女の差ゆえに実力が逆転した後でも
青葉を心から尊敬しているというのも
とても理解できます。

ここまではいいのですが、プレハブ編が終了したあたりから
物語を進行するための役割を担うだけのキャラが出てきて、
それらの描写が不十分で完成度を下げた気がします。

まず登山家いとこは何だったのでしょう。
ことあるごとに電柱の上に居たりするのはまだ目をつぶるとして、
青葉家に同居までしてるのに後半完全にもて余されていました。

また、東が青葉を好きになるのは東の性格的には
十分あり得そうな感じでしたが、これもちょっと唐突だった印象。
本気で好きだといいながら、最後は説明なしに全てを察知し
あっさり引き下がるし。

そして、あかねがコウに惹かれるというのは物語的には
これしかないという感じではあるのですが、これも何となく
納得しなければならないという感じ。

最後の方にコウが「若葉が自分の言いたいことを伝えるために
あかねちゃんを導いてくれた」と話した部分は「?!」です。
私の中ではなかったことにしています。
これではあかねの存在も若葉の存在も軽く扱われすぎだと思います。

青葉はコウのことをたぶん小学生の時からずっと好きだった。
でも若葉のこともあり反対な態度をとらなければいけなかった、と
いうのは無理なく理解できるのですが、
コウが青葉のことを好きになった時期がいまいち
ハッキリ分からないのも不満です。
それによってコウの印象が随分変わってきます。

タッチの南ちゃんは和也と死別する前から達也(残った方)が
好きだった。
コウは生前は若葉の方が好きだったけど、死別後に
青葉(残った方)のことが好きになったのならば、
個人的にはその経緯をもう少し納得したかったです。

若葉が生きていた時から実は青葉に惹かれていた可能性も
あるので、そうなるとまた印象が全然違ってきますが・・。

あだち充作品として読んで十分満足できる面白さだと思いますが、
上記の理由から完成度は「タッチ」「H2」が上だと思いました。

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[投稿:2014-04-13 21:27:29] [修正:2014-04-13 21:28:03]