「ドリンクウォーター」さんのページ

つまらなくはない。むしろ本屋で新刊を見かけたら購入するレベルだが…

基本的なストーリーラインはムッタの成り上がりのみで構成されていて
そこにちょいちょい脇役キャラの掘り下げが混ざるという具合だが
群像劇というほどではなくやはりムッタに焦点を当てたストーリー

ただストーリー展開がワンパターン
“成り上がりもの”であるため、主人公の前には数々の壁が立ちはだかるのだが
壁を乗り越える手段が、「頭のキレる主人公が革新的な解決法を思いつく」のほぼ一択
この“革新的な解決法”がわりと本当に革新的であるため
読んでいて「オォー!」と感心してしまうのだが
さすがにそればっかりだと飽きる。

ぱっと見ダメダメな主人公は実はやれば出来る子でしたというストーリーゆえに
展開が、主人公を落とす→上げる→落とす→上げるの繰り返しとなる
昨今のラノベにありがちな主人公マンセーとまでは言わないが
「上げる」過程で他のキャラがちょっと噛ませ役になりがち
で、ストーリーが進めば進むほど「上がっていく」ため
その傾向はだんだん強くなっているように思う

あとストーリー全体を通して“なんとなくうまく行きそうな雰囲気”がビンビンに漂っている
予定調和的とでも言えばいいのかもしれないが、伏線の張り方と回収の仕方が
ベタもベタの超王道なので、ドラマティックな驚きはあんまり無い

総じて、サラッと読める漫画だと思う
オッサンが頑張るサクセスヒューマンドラマとして見れば普通に面白い

最後に、これは非常に個人的な思い込みかもしれないが
作者の描き方から、宇宙に対する情熱をあんまり感じない。
「宇宙兄弟」が「宇宙」でなければならない理由がよくわからない
宇宙とはロマンだ。そこには永遠に知ることができないだろう世界が
遥か無限の彼方まで広がっている。
この漫画は、ユーモラスなヒューマンドラマを読ませてはくれるが
大宇宙のロマンを感じさせてはくれなかった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-08-25 02:24:39] [修正:2015-08-25 02:24:39]