「nur_wer_die_sehnsucht」さんのページ

10点 永遠の0

[ネタバレあり]

何故この作品が戦争の美化だの反戦だのと言われるのか、私にはまったく理解不能ですね。
現代人の頭の悪さというか、性格の悪さと言うか。もう「戦争」というものが出てくるだけで、異常反応を示す。どんな美しい話も戦争が描かれるだけで、戦争の是非や否定に走ってしまう。
『永遠のゼロ』という作品は、現代日本の腐敗というものを呈示した作品なのね。そして戦前の人間の美しい生き方というものを呈示し、現代で喪われているものを取り戻そう、という文学。戦争ではなく、「生き方」の話なんだよ。

あの健太郎という若者が現代人の象徴となっているわけ。他者の評価を求め、そのために優秀であろうとし、それが出来ないと今度は逃げ回っていくだけの自堕落な人間となる。自分の損得で生きる臆病者の卑怯者なんです。
そういうダメ人間=現代人が、昔の人達の美しい真の生き方を知る、というのがこの作品のテーマになっているわけ。何でこれが分からないのか全く分からない。
戦後に喪って戦前にはあったものなんですよ。それは「戦争」なんかじゃないの。美しい心の問題だから。
その美しい生き方がどういうものかと言えば、それは自分の目の前にある現実(運命)にきちんと向き合って、それから逃げずに対処することだよ。何らかの大事なものが中心にある生き方。だから逃げないんだな。
厳しい現実となる戦争の中でもそうやって貫いた人物が、主人公たちの祖父の久蔵だった、ということ。

最初は母親の思いを酌んで始まるだろ?それは自分の存在の根底である母親を中心にした思考だった、ということ。つまり美しい人生の始まりとなる基本なんだよ。
そしてまず久蔵と同じく零戦乗りであった長谷川という人物が出てくる。彼は生き残って戦後にいるわけだけど、それを激しく後悔している。その後悔は、戦後の日本が自分たちの美しい心を踏みにじっているからなんですよ。
そこから久蔵の人生を知るにつれて、その美しい生き方が孫達に伝わって行くわけ。
そして「ゼロ」と米軍に恐れられた零式戦闘機が、何であったのかが分かって行く。

まあ、零戦が戦闘機にしか見えない奴はダメですよ。モノをモノとしか捉えられない、戦後の物質主義者です。魂というものの崇高が分からない。
「永遠の」と題した著者にはよく分かっていることなんだよな。
大体戦争なんて否定するものじゃないのね。これは人間の文化の一環だから。だから歴史上常に戦争は在るわけ。今もちゃんと在る。
必要なことは現実を受け入れて、どんな時代でも美しく生きようとする心だけなんだから。だから戦争の中でも崇高も美も幾らでもあるわけ。
今の日本人の戦争否定なんて、要は自分が損したくないだけのワガママに過ぎないから。
だから戦争反対と言いながら、誰も世界の戦争を止めに行かないだろ?。所詮自分だけの問題だからなのな。

それに日本が戦争を放棄したとかほざいてるけど。それって自分たちが安全な場所にいるからなんだよ。どっかの国が侵略しに来ても「自分達は戦わないけど、アメリカさん、戦って死んでね」っていうことだから。
もう世界最低の民族ですよ。
この今の日本の態度って『永遠のゼロ』の中に出てくる戦時中の軍の上層部と全く同じものだから。他人がいくら死んでも、自分たちの安全を謀るっていうね。
恥を知れ、ということですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-08-14 23:14:49] [修正:2019-01-18 12:31:41]