「まれら」さんのページ

密室芸というジャンルがある。限られた空間・限られた対象を相手に演じられるアングラ芸だが、致命的欠陥として、不特定多数に公開したときには、大抵の場合その神通力を失う。場のテンションをコントロールして笑いに昇華させる手法なのだから、当然と言えば当然である。(希有な成功例がタモリや茂木淳一だと思う。)
漫画にも仮に「密室漫画」というものが存在するとすれば、ながいけんの作品はまさにこの密室漫画に相当するのだろう。相手を楽しませようとか、ストーリーを理解させようという努力は放棄し、ひたすらキャラクターと言語感覚だけが暴走していく。正直、これを商業誌に掲載するのは冒険だった筈である。それでいて密室漫画に徹し切れているかと言えばそうでもなく、非常に中途半端な作品になってしまっている。投稿時代の氏の作品(チャッピーもの、ラスカル軍団もの)と比較しても、明らかにパワーダウンしており、惜しい。
とはいえ、設定や台詞の端々に異才が感じられるのは事実で、往時のノリを知る者にとっては、結構楽しめるのではないだろうか。

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[投稿:2007-12-09 22:24:51] [修正:2007-12-09 22:24:51]