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7点(レビュー数:4人)

作者吉田秋生

巻数4巻 (完結)

連載誌ベツコミ:1983年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:35:27

あらすじ 昔々、天女が地上に降り来たり、
神官の息子と夫婦になった……。
伝説的な由来をもつ
叶家の娘・小夜子が街に帰ってきた。
17歳。凄絶な美貌。
地に囚われた自らの運命を呪う少女。
そして転入先の高校には、
叶家の財をねらう遠野家の暁と涼がいた。
陰謀渦巻くこの街で、
小夜子の領域を侵す者が次々に死んでゆく。
青春の白日夢にも似た、
吉田秋生の幻想綺譚。

備考 フラワーコミックスより全4巻(絶版)、小学館叢書(絶版)と小学館文庫版が全2巻。

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この漫画のレビュー

9点 red-eyesさん

ボディブローのように効いてくる傑作。”完璧な女性”を描いた作品。

 恐ろしいほどの美貌をもつ叶小夜子が、自らに降りかかる火の粉を「女の力」で振り払っていく、という話。ホラーミステリー?

 はじめて読んだのは健全な(?)男子高校生だった17歳の時。女性の恐ろしさをぶつけられ、コドモゴコロに衝撃を受けた。読み終わった後、吐き気を催したのを覚えている。女性の事をろくに知らず、SEXも覚えたての当時の僕には、ヘビーすぎたのだろう。

 最近になって、改めて読んでみたが、やはりすごい。軽い言葉でオブラートに表現すれば「女の言うイイ女と、男の言うイイ女は違う」。そして、24歳になった今でも、ぜんぜん修行不足だな…と思い知らされてしまう。

 女からみた完璧な女は、果たして幸せだろうか?作中では、小夜子は、登場する男のほとんどを手玉に取っている。手玉に取っていない男は、自らの父と祖父ぐらいではないか。この作品に登場する主な男は、形こそ違えども、彼女に服従を強いられている。

 もっとも、この男を手玉に取る強大な力は、自らの意思に反した結果をも生む。主人公の死は、小夜子にとって予想外の出来事であっただろうし、作中で唯一ミスをした点である。”完璧な女性”であったとしても、幸せになれるとは限らないということなのかもしれない。

 構成自体は、結構単調。男の暴力と女の色、というワンパターンな展開が何回か続く。物語が短いから耐えられる。最後は一気に話が進む。

 吉田秋生らしい、性をテーマにした作品。四半世紀ほど前に書かれた作品ではあるけれども、現在でも十分通用する。草食系男子が流行る今の世を、作者はどう思うのか、聞いてみたい。

 ホラーミステリーが好きな人、性について考えてみたい人、ちょっと鬱な気分になりたい人は、読んでみてはいかがでしょう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-08 11:46:34] [修正:2009-12-08 11:46:34]

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