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7.37点(レビュー数:24人)

作者士郎正宗

巻数3巻 (完結)

連載誌ヤングマガジン海賊版:1989年~ / 講談社

更新時刻 2009-11-25 06:27:17

あらすじ 西暦2029年。通信ネットワークに覆われ、膨大な情報が世界を駆け巡っている超高度情報化社会。しかし国家や民族、そして犯罪は依然として存在していた。より複雑化していく犯罪に対抗すべく結成された特殊部隊……公安9課に所属するその組織の名は、攻殻機動隊と呼ばれた。

備考 単行本は「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」が1巻、「攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE」が2巻として発行。
上記単行本未収録作品を集めて、e-mangaという電子コミック(CD-ROM付属ブックレット)として
「攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER」が発行されている。これで計3冊。
2008年3月13日、講談社より「攻殻機動隊1.5」が純粋な単行本として発売された。内容はe-manga版と同一であり、設定資料などが追加されたもの。
その巻末で、作者自身により「続編はない」と記され、公式に完結となった。

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この漫画のレビュー

9点 右から左へ。さん


漫画、というより公安9課という組織を通した物語の中で、科学的、社会的に物事の考察をする読み物。

個人的に攻殻機動隊の世界観が大好きであるため、アニメ版の作品(SAC、2nd GiG、SSS、劇場版Ghost in the shell、劇場版イノセンス)は全話すべて視聴している。その背景があればこそ、100%この世界に浸れたわけである。

つまり、一般の方、とりわけ今まで攻殻機動隊に親しむことがなかった方には、この世界観を理解するのに、やや思考力と読解力が求められるということを示唆している。難解なセリフ、世界観、倫理的な問題を孕む事項についての哲学的な認識。それらの事項への積極的なアプローチ、つまり読者の主体性なくしては、この漫画を漫然と読み進めることはつらいと考えられる。それでも、アニメ版と比較すると外部記憶装置に頼る台詞がかなり少なく、読みやすい印象は受けた。また、少佐のキャラがアニメよりも、砕けた感じになっていて親しみが持てた。その分示唆に富む知的な発言が少ないという欠点もあるが。

だが、1991年初版のこの漫画が、17年後の今現在でも十分に通用しうる問題を提起していること。また、その世界観に向かっていくかのように、現実世界の方が進歩し続けていること。その2点だけでも、既存のSF漫画には到達し得なかった奥深さがある。さらに、深い社会考察、科学的なアプローチ。これらが複合的に作用して独特であり、かつどこか現実的な攻殻機動隊の世界観を構築しているのである。

この作品を楽しむために。

士郎正宗が1巻で述べているように、この漫画は解説文を読む回と作品を読む回に分けて読んでほしい。また、他のレビュアーの述べるように、一回で全てを理解しようとして読むのではなく、数回に分けて理解しながら読むのが賢明かと思われる。さらに、機会があれば、アニメ版も視聴してほしい。より深い考察ができるだろう。

総じて見れば、エンターテイメント性を備え、かつ深い考察をすることができているこの作品。良作であることは間違いない。だが、万人受けは決してしないと思う。現代、そして未来の社会が抱えるであろう諸問題への考察をしたい方、サイボーグ技術に関心のある方にはぜひ一読を勧めたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-27 19:51:26] [修正:2008-10-27 19:51:26]

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