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7.38点(レビュー数:13人)

作者小玉ユキ

巻数9巻 (完結)

連載誌月刊flowers:2007年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 00:45:41

あらすじ 1966年初夏、横須賀から地方の高校へ転入した薫。幼い頃から転校の繰り返しで、薫にとって学校は苦しいだけの場所になっていた。ところが転入初日、とんでもない男と出会い、薫の高校生活が意外な方向へ変わり始め・・・!?

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この漫画のレビュー

7点 とろっちさん

ジャズを通して描かれる古き良き青春物語。

友情の見せ方、恋愛の描き方、雰囲気、絵柄、どれもが古臭く、常に新しさを追い求める漫画界では
古臭さは致命的なはずなのですが、この作品ではその古臭さを上手く長所に転じさせています。
もちろんただ古臭いだけではなく、現代の人にも読みやすいように1960年代を再構成して
田舎の素朴な空気と共に放つ手腕は見事。
至る所にマイナス(基本的に主人公が不幸になる系)の伏線が仕掛けてあるタイプの作り方で、
その点も昔のタイプというか、最近ではちょっと珍しい系統の作品かなと思います。

この作品の見せどころの一つが、他の方のレビューにもあるように、ジャズの演奏シーン。
これがまた本当に楽しそうで魅力的。
演奏シーン以外の展開が割と暗めな話なので、その対比が尚更に際立っています。
ジャズはもともと溢れ出るような感情のありったけを曲に込めて解き放つような印象。
どちらかというと人生の渋みを覚えた世代に適した音楽ジャンルだと思っていたのですが、
それが青春漫画での感情表現にも実によく似合うのかなと目からウロコでした。
などと語れるほど私も全然詳しくないですし、この作品でもジャズはあくまで話を彩る脇役であり、
メインは主人公たちの青春物語なので、そちらを静かに見守ることにします。
素朴な中に暖かみがあり、グイッと引き込まれるというよりは徐々に心に浸透していくような良作。

こういう音楽系の作品は好きなアーティストがどこまでフィーチャーされるかも楽しみの一つ。
この作品ではアート・ブレイキーやビル・エヴァンスの出番が多く、ファンの人にはたまらんでしょう。
ちなみに本当にどうでもいいんですが私はサッチモとサラ・ヴォーンが好きなんですけど、
サッチモは未だ出てこないし、サラは一応出てきたけど鳩っすか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-28 01:33:08] [修正:2011-10-28 01:33:38]

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