ホーム > 不明 > DC Comics > スワンプシング

6点(レビュー数:2人)

作者スティーブン・ビセット

原作アラン・ムーア

巻数1巻 (完結)

連載誌DC Comics:1984年~ / 小学館集英社プロダクション

更新時刻 2011-09-19 18:25:53

あらすじ 首都ワシントンのとある高層ビルに一人の男が招かれた。男の名前はジェイソン・ウッドルー、通称フロロニックマン。彼は、謎の老人の依頼を受け、冷凍保存されたかの植物怪人"スワンプシング"の誕生の謎を探りはじめる。科学者アレック・ホランドは、なぜ植物怪人へと姿を変えたのか? やがてウッドルーが突き止めた衝撃の真実とは......

備考 彩色はジョン・タトルベンによる。

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この漫画のレビュー

6点 booさん

ムーア御大のアメリカデビュー作。イロもののように見えて実は…いや、やはりイロものキワものの類か?笑 
スーパーマンたちJLAのメンバーがちらっと出てくるもののヒーローものでは決してない。怪人もの。ホラーファンタジー。

元々スワンプシングというのは、爆弾の爆風で沼に吹っ飛ばされ死に瀕した科学者アレックスが化学薬品と爆発の衝撃で、沼の植物と融合し怪人スワンプシングになってしまうというもの。
設定聞いただけで何だか微妙だな、と思いません? 実際当初は人気は出なかったらしい。そこでテコ入れのためイギリスで評判の高かったアラン・ムーアに全面的にこのシリーズを任せることになった次第。

ということでムーアのアメリカデビューとなったこの作品、のっけからこれまでの設定をひっくり返してしまいます。スワンプシングとはアレクが植物と融合した姿ではない。アレクは爆発で既に死亡していて、沼の植物がアレクの意識と記憶を取り込んだ姿なのだと。

ふーんそうなんだとまあ思うわけです。しかしこの改変、物語が先に進めば進むほどムーアの才能を思い知らされることになる。
スワンプシングはアレクの記憶を持っているのでもちろん殺されかけた復讐心やその他の感情はある、でもそれは確かにあるのに自分のものじゃないのだ。何を考えてもそれが自分の考えなのかアレクの考えなのか、分からない。
痛ましいまでの悲哀。おぞましくも哀しき怪物。もはやアイデンティティの喪失なんて言葉が軽く感じてしまうほどの真実を”それ”は知ってしまう。

そこからスワンプシングが絶望の末にどこにたどり着くのか、というのがこの作品の前半のお話。これが傑作だった。この頃からムーアのライティングは知性を感じさせてくれる。紹介エピのはずなのにもうこれで完結でもかまわないくらいの出来なのだ。
もちろん連載なのでそこで完なんてできるはずもなく、後半はホラー色の強い作品が掲載されている。これが駄作とまでは言わないけど何とも微妙。話の進め方に迷いが感じられたりスワンプシングを話に絡める必然性が薄かったりで、前半で完成されている気がするだけに蛇足というか…。

これ以降も連載は続いたようですが、そこまで続編を見たいとは思わないし邦訳もされないだろうな。
後半も考慮に入れてこの点数です。しかしWATCHMENなどでムーアに興味を持った人は出色のできばえの前半をぜひ見て欲しいなと思う。
スワンプシングをムーア作品で最初に見るのは間違いなくおすすめできない。古くて癖が強い、まさに「怪作」なので。これがこの作品にとって最高の褒め言葉だよね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-22 01:59:54] [修正:2011-09-23 00:24:01]

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