3.5点(レビュー数:2人)
作者複数作家
原作グラント・モリソン他
巻数1巻 (完結)
連載誌DC Comics:2007年~ / 小学館集英社プロダクション
更新時刻 2012-04-15 21:08:20
あらすじ ラーズ・アル・グール、バットマン、ダミアン……彼ら3人をつなぐ親子の系譜、さらにバットマンの養子であるナイトウィングとロビン。各人の立場によって何層にも重ねられた父子の絆と葛藤が描かれたドラマの結末はいかに!? 黄泉の国から舞い戻った宿敵ラーズ・アル・グールは、新たな若い肉体を必要としており、バットマンの息子ダミアンに狙いを定める。精神寄生体と化したラーズを阻止することはできるのか……。三代目ロビン(ティム・ドレイク)をはじめ、初代ロビンだったナイトウィング(ディック・グレイソン)や暗殺者集団“7人の死の使徒”を率いる老師センセイ、ラーズの忠実な下僕ホワイトゴースト、謎の戦士イーチンなど様々なキャラクターが登場する本書は、2007年12月号から2008 年2 月号にかけて行われたイベントをまとめた作品群である。著名な作家陣が紡ぎ出した珠玉の物語を堪能あれ!
備考
【参加漫画家】
グラント・モリソン (著), ポール・ディニ (著), ピーター・ミリガン (著), ファビアン・ニシーザ (著), キース・シャンパン (著), トニー・S・ダニエル (イラスト), ドン・クレイマー (イラスト), フレディ・E・ウィリアムズII (イラスト), ジェイソン・ピアソン (イラスト), ライアン・ベンジャミン (イラスト), デイビッド・バルデオン (イラスト), デイビッド・ロペス (イラスト)
この漫画のレビュー
4点 booさん
タイトル通りラーズが復活するまでの物語なのだけれども。つまり、この作品の少し前にラーズは死んでたらしい。そこらへんの簡単な経緯はイントロダクションで説明されている。
死んでいたラーズさんが一応復活したんだけど、血縁関係のある身体じゃないと肉体が徐々に朽ちていくと。だから娘のタリアとバットマンの息子であるダミアンの肉体を頂戴してやるぜ、バットマン側はもちろんそんなことはやらせないぜ、みたいな話。
とりあえず思うのは、クロスオーバーだからかもしれないけど、全体的に話が全く落ち着かないというかピースがぴたっとはまる感覚がないってことで。バットマン、ロビン、ナイトウィング、ダミアン、センセイ、と色々な人物が絡んで絡んで絡んで、結局ここに着地かい!みたいな。
薄いドラマが並列して進んでいくだけで、話が絡み合う醍醐味もなく、捻った展開があるわけでもなく、ただただ何となく落ち着きそうなところに着地したなという印象だった。何というかね、複数の物語が折り重なって最後に驚きの結末につながる…とかそういうのを期待してたのよ私は。そもそもセンセイは必要だったのか?
話はすごくテンポよく進むんだけどね。スピード感があるというより、あんまり人間ドラマが感じられないまま話がぶっ飛んでいくなと。群像劇というにはあまりに一人一人の物語に深みが感じられなかった。
かなり“父と子”の物語というのはプッシュされていたので、そこに注目して読んでいたのだけれども。まずバットマンからして大して父親としての姿を見せていないわけで。台詞で語るでもなく、行間で心情を表現しているわけでもなく、そもそもバットマンはダミアンの父親としての意識があるのだろうかと問い詰めたく思った。色んな父と子の関係性が出てくるんだけど、全体的にバットマン同様物語が薄い。
そんな中、ティムとディックだけは良かったよなぁ。ラザラス・ピットで死んだ両親を蘇らせたいと葛藤する心情はよく理解できるし、ディックのバッツファミリーの長兄的な立ち居地もうまくハマっていたと思う。というかブルースよりディックの方が良い父親じゃねぇか、などと二人のやり取りにはぐっと来た。
またクロスオーバーの醍醐味であろう、色んな登場人物が派手に活躍するのは素直におもしろかった。ロビンが活躍する作品はあまり邦訳されてないので、なかなかに新鮮味があって楽しい。
けっこうくさしてしまったのだけど、完成度や物語のおもしろさではなく、たくさんのキャラクターの活躍やアクションを求めるならば決して悪い作品ではないと思う。ただ私が期待してたのはそうじゃなかったんだよなぁ。
追記
・エピローグで簡単に説明されている、バットマンがラーズをアーカムに送り込んだくだりは色々と酷いw
・ジェイソンは復活後どんな感じの扱いなのか気になる
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[投稿:2012-04-15 21:16:24] [修正:2012-04-15 22:06:19]