藤子・F・不二雄 異色短編集
作者:藤子・F・不二雄
雑誌:短編集
レビュー全文
9点
:左手さん
「まさに漫画の四次元ポケットや!(彦麻呂風)」
なぜ映画監督のスタンリー・キューブリックが評価されているのか?漫画とは関係ないが映画の説明から始めます。それは作品ごとに全く違ったそれも新しい手法やコンセプト(基本的な概念)を用いて、その上悔しいほど良くできていて、正直に面白い映画だから評価に値するのです。ジャンルもかなりバラバラで、不謹慎コメディ、軍隊もの、サイコホラー、超SF作品などその懐と技術力、挑戦心に畏怖をするほどであります。
ここで、特に手塚治虫を始め、なぜ、超が付く大物がすごいというと、そのジャンルやコンセプトが全く異なった漫画を描いてきて、その上面白いということです。ここでは漫画自体をほめているのではなく、"漫画家"をほめていると理解して下さい。
藤子不二雄も同様に手塚治虫と並べられる超大物です。ドラえもんみたいな子供騙しの漫画を描いている人としか認識していない人は人生を損しています。この方は子供騙ししか描けないそこらの三流漫画家ではなく、"子供騙しも描ける"漫画家だということをこのSF短編集を読んでわかるでしょう。
そんな藤子不二雄、特に子供向けのF先生の大人なS(すこし)F(ふしぎ)ストーリーを読んでみる価値は十分にあります。
以下は漫画について書きます。
あのドラえもん絵柄であれらの話を綴る怖さ。楳図かずおのようなリアルな絵で怖さを感じさせず、藤子漫画の絵だからこそ垣間見える人間のもともと備えている人間性の怖さが、むしろ爽やかに描かれてるところや、また、コンセプトつまり話の作り方の目の付け所が語彙力が少ないと思われますが、凄いの一言で、誰かこの話をパクって漫画描けよ、と言いたくなる程の出来です。
何度も読める漫画はオチを知っていてもやはり面白い。これは話の内容もですが、私自身よく使う表現なのですが、面白い漫画は漫画としての喜びに満ちている。それは表現やお話作りなど全てを含めた要素が良い方向に向いている。それがこの漫画にはセクシーコマンドー外伝すごいよマサルさんのヒゲ部のシンボルマーク並みに盛られています。
漫画に一過性の楽しみを求めている人にとっては、なんだこりゃつまんね、と言ってしまう作品ですが、漫画としての喜びが満載なこの漫画、そんなに甘くはないですゼ。
藤子不二雄原理主義者ですが、布教ついでにオススメです!
(全巻所持)
[ 2011-05-13 00:47:34]
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