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アトモスフィア
作者:西島大介

雑誌:描き下ろし

 レビュー全文  

7点  :頭突き串の寿司さん 

他人を赦すことは解決になるのか?
いやそもそも"赦す"ことは放棄につながることなんだ、少なくともこの主人公のなかでは。

世の中のなにもかもを赦して生きてきた「わたし」の前に現れたのは
           . . .
もうひとりの「わたし」。
通称「守る会」の活動によって分身は殺されていくけど
この現象はどんどん広がり被害者も増えていく。
そのうちカバンも建物も国でさえも分身していって。
そのすべてをことごとく赦す「わたし」。
最終的には許容範囲を越えてしまったところでとんでもないオチ。
まったくもって許すまじ。


一切を赦すことは無償の愛である
なんてアガペ的な聞こえの良いものではなく「わたし」はとことん世界に向き合っていないだけ
赦すことで事なきを得る
現に「わたし」は生き延びている
生きていくには「赦し」が手っ取り早いということか。


表現はすごい
ギリギリマンガとして成り立ってるくらいのものだけど。
分身を表す記号が星々になってたのには驚いたし
オチでは文字通りマンガの枠をぶち壊した。
独白ばっかで多少ポエムポエムしているので嫌いな人はなかなか嫌うだろう
多分最後までたどり着けないんじゃないでしょうか。


読み終わったところで冒頭の警部の言葉が効いてくる
「想像を超える結末なんてない」
ここにあった。
それともこれはまだ想像の範囲内とでもいうのか。
なかなかメタ的な作品。
読後感なら「凹村」よりこっちのほうがスッキリ
まあぶっ飛んでて比べようがない気もするけど。


[ 2012-07-18 18:36:12]
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