青空にとおく酒浸り
作者:安永航一郎
雑誌:月刊COMICリュウ
レビュー全文
6点
:景清さん
小動物的な可愛さを持つ元気な女の子。
年中だらしない格好をして家でゴロゴロしている「とうちゃん」。
ひょんな事から主人公の女の子と友達になった女子高生のお姉さん。
安永航一郎が久しぶりに商業誌に復活という事でこの『青空にとおく酒浸り』の1巻を手にしたとき、メインのキャラ配置に妙な既視感を覚えた。なんか、そこはかとなく世評も高い某癒し系ほのぼの女の子漫画と似ているなぁと。
2巻を買い、巻末コメントを読んだ。
「貧乏くさい『よ〇ばと!』を描いてみようとゆーことで大ヒットを狙って景気よくスタートした本作ですが(中略)非人道的『じゃ〇ん子チエ』になってしまったのはなんでなんだぜ?」
数年に及ぶ雌伏のときを経てもなお、安永航一郎はこれっぽっちも変わっていなかったのである。臆面の無いパロディ、無駄なハイテンション、変態の狂い咲きサンダーロード、脚線美の眩しい美少女達、”どうってことのない日常”なんかくそ食らえ、息が詰まるほどの濃さに眩暈を覚え、同時に安堵と歓喜の涙も流しそうになる。けれどもそんな濃い目でハイテンションの安永テイストをどばっと盛り込む一方で、作品の空気感そのものとしてはネタ元である『よつばと!』に代表されるような日常ほのぼの系にも通じる肩の力の抜け具合が感じられるのが凄い。
変態達の織り成すしょうもない事件の数々が描かれながらもそれらすらが作品世界の持つ「日常」と化しており、その結果本作もまた日常ほのぼの女の子漫画と化してしまったワケである。(ただしスネ毛か汗とかよくわからん汁とかにまみれた…)
もう50近いおっちゃんが昔と変わらずこんな漫画を描いてくれている事に驚愕し、また心からありがたいと思う。
「わははははははははははははははははははは」
そんな安永航一郎の高らかな嬌声すら聞こえてきそうな作品である。
[ 2010-06-08 23:50:55]
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