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バットマン:ラーズ・アル・グールの復活
作者:複数作家

雑誌:DC Comics

 レビュー全文  

4点  :booさん 

 タイトル通りラーズが復活するまでの物語なのだけれども。つまり、この作品の少し前にラーズは死んでたらしい。そこらへんの簡単な経緯はイントロダクションで説明されている。
 死んでいたラーズさんが一応復活したんだけど、血縁関係のある身体じゃないと肉体が徐々に朽ちていくと。だから娘のタリアとバットマンの息子であるダミアンの肉体を頂戴してやるぜ、バットマン側はもちろんそんなことはやらせないぜ、みたいな話。

 とりあえず思うのは、クロスオーバーだからかもしれないけど、全体的に話が全く落ち着かないというかピースがぴたっとはまる感覚がないってことで。バットマン、ロビン、ナイトウィング、ダミアン、センセイ、と色々な人物が絡んで絡んで絡んで、結局ここに着地かい!みたいな。
 薄いドラマが並列して進んでいくだけで、話が絡み合う醍醐味もなく、捻った展開があるわけでもなく、ただただ何となく落ち着きそうなところに着地したなという印象だった。何というかね、複数の物語が折り重なって最後に驚きの結末につながる…とかそういうのを期待してたのよ私は。そもそもセンセイは必要だったのか?

 話はすごくテンポよく進むんだけどね。スピード感があるというより、あんまり人間ドラマが感じられないまま話がぶっ飛んでいくなと。群像劇というにはあまりに一人一人の物語に深みが感じられなかった。
 かなり“父と子”の物語というのはプッシュされていたので、そこに注目して読んでいたのだけれども。まずバットマンからして大して父親としての姿を見せていないわけで。台詞で語るでもなく、行間で心情を表現しているわけでもなく、そもそもバットマンはダミアンの父親としての意識があるのだろうかと問い詰めたく思った。色んな父と子の関係性が出てくるんだけど、全体的にバットマン同様物語が薄い。

 そんな中、ティムとディックだけは良かったよなぁ。ラザラス・ピットで死んだ両親を蘇らせたいと葛藤する心情はよく理解できるし、ディックのバッツファミリーの長兄的な立ち居地もうまくハマっていたと思う。というかブルースよりディックの方が良い父親じゃねぇか、などと二人のやり取りにはぐっと来た。
 またクロスオーバーの醍醐味であろう、色んな登場人物が派手に活躍するのは素直におもしろかった。ロビンが活躍する作品はあまり邦訳されてないので、なかなかに新鮮味があって楽しい。

 けっこうくさしてしまったのだけど、完成度や物語のおもしろさではなく、たくさんのキャラクターの活躍やアクションを求めるならば決して悪い作品ではないと思う。ただ私が期待してたのはそうじゃなかったんだよなぁ。

追記
・エピローグで簡単に説明されている、バットマンがラーズをアーカムに送り込んだくだりは色々と酷いw
・ジェイソンは復活後どんな感じの扱いなのか気になる
[ 2012-04-15 21:16:24]
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