この世界の片隅にのレビュー
7点 森エンテスさん
同作者の『夕凪の街 桜の国』とどうしても比べてしまうわけですが、マンガとしての読みやすさは前述の『夕凪』の方があるように思います。
この作品はマンガの手法としてはとても実験的であるので、何度も読み返して、自分の中で消化する必要があるのかと思います。
内容は戦時中の呉に広島から嫁いだ主人公の日常マンガなのですが、戦争っていうのは人を不幸にするモノだと強く思いしらされました。
そういう左目線での主張はほとんど見受けられない分、そう思うという事です。
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[投稿:2013-08-15 20:24:43] [修正:2013-08-15 20:24:43] [このレビューのURL]
9点 kikiさん
元々こうの史代さんの描くあたたかい絵や昭和の庶民の生活風物詩満載の
作風が好きだったのですが、この作品はそのあたたかさと「長い道」で
やってた実験的な漫画の作りとそして戦争の話が見事に融合した傑作だと
思います。
主人公は広島から呉に嫁ぐしタイトルに昭和○年○月と入りそれが刻一刻
と昭和20年8月に近づいていくので、原爆が出てきて主人公の身に何が
起こるのか気にかけながら読むことになります。
が、作中のほとんどが戦時下での普通の人の暮らしぶりを丁寧に楽しく
描かれていて(何を食べてたかとか防災訓練とか)戦中の生活がどういう
ものであったのかとても分かりやすいです。
生活だけでなく呉の海軍のことも垣間見えて随分勉強されたんだなぁと
感心しますし、それを面白く描いているのがまたすごい。
原爆のことはあくまでも呉から見た原爆なのでえぐい描写はそんなになく、
むしろ呉での空爆の方が詳細に描かれてます。
それでもあのピカッのシーンとすずさんの心の変化を上手く掛け合わせて
てて感心しました。
又今までの彼女の作品は恋愛面は夫婦であってもフワフワした感じで描かれ
ていて、この物語も途中までは二人の胸中が読めなくいまいちつかみどころ
がない夫婦だなと思ってました。が、今回はすずさんのモヤモヤがちゃんと
表現されていたり、あの側溝のシーンでの胸中の吐露シーンではメロドラマ
みたい!とドキドキいたしました。夫婦の愛情の変化がより上手く描かれて
いると思います。
そしてすずさんの右手の物語。絵を描くことが大好きな右手とすずさんの
物語上の様々なリンク、後半の左手で描かれた背景、もうほんと傑作!
あまりの物語の描写のすごさに下巻だけ何回も読み直してしまいます。
戦中色々な出来事を生き抜いて、最初ポワーとした娘さんだったすずさんが
凛とした女性に成長しこの世界の片隅であたたかにしっかりと生きていく
姿に言葉にならない感動を覚えました。
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[投稿:2011-05-17 17:17:50] [修正:2011-05-17 17:17:50] [このレビューのURL]
7点 あんりさん
同作者の『夕凪〜』と同じく
また評価しにくい。
作者特有の長閑かな雰囲気のおかげで
まるで戦中だって満更ではないかのような錯覚をいだかせる
いつの時代にも逞しく強かに生きる人はいるのだろうし
あの頃に呉市のような人々がいたことを嬉しく思うも
それはただの願いかもしれない
読後、複雑な気持ちになった
この作品で明言できる良点は
主人公すずの描く 穏やかな絵だ
それが気に入ったので7点をつけた
またいつかレビューし直したい
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[投稿:2009-06-11 17:04:05] [修正:2009-06-11 17:04:05] [このレビューのURL]