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7.63点(レビュー数:130人)

作者荒川弘

巻数27巻 (完結)

連載誌月刊少年ガンガン:2001年~ / スクウェア・エニックス

更新時刻 2012-10-15 02:24:28

あらすじ エドワードとアルフォンスの兄弟は、幼き日に喪った母を錬金術により蘇らせようと試みる。しかし、錬成は失敗しエドワードは左足と弟のアルフォンスを失ってしまう。なんとか自分の右腕を代償にアルフォンスの魂を錬成し鎧に定着させることに成功するがその代償はあまりにも高すぎた。そして兄弟はすべてを取り戻す事を誓うのだった…。

備考 2004年 第49回小学館漫画賞(少年向け部門)受賞

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この漫画のレビュー

7点 creさん

[ネタバレあり]

良作ファンタジー。

一貫した世界観、設定、主人公の行動動機。結構長く続いているのに、矛盾や違和感をこれほど与えないファンタジーも珍しい。しかも、物語中盤以降で生きてくる設定を初期の頃からハッキリ決めてあり、少しずつ複線を張って読者を導いていくところなんかは、連載開始当初かそれ以前によく考えてあったのだろうなと、かなり好感が持てる。

ただ、主人公は軍の犬と罵られても、徴兵されてもいい覚悟で自分たちの目的を達するために軍に入り、多くの特権を得たわけだが。この物語を読んでいる以上、主人公に徴兵されて人殺しをする覚悟があるとは思えない。

自分たちの体を元に戻すと言う目的のために、なぜ人の命が材料である賢者の石を使うことをためらうのか。軍に在籍し、国民の血税を貪り食い、戦地へ送り込まれ人殺しをする。それと賢者の石を使うことに何の違いがあろうか。人の命を使うことにそれほど抵抗があるのならば、はじめから在籍するだけで人の命を食っていく軍などに在籍できるわけもない。賢者の石を使えないと言った時点で、主人公の何を犠牲にしてでも元の体に戻る、軍令に服従してでもその目的を達する、という覚悟はうすっぺらなものになってしまったのではないか。

また、作者には生物や化学をもう少し勉強してほしいと、生物化学専攻の俺は思ってしまう。ただ、間違った知識を大仰な解説に使い、読者に誤解を与えてしまうような使い方をしているわけではないので、それほど気にはならないのだが。

と、あえて批判的なことも書いてはみたものの、全体としてこの漫画の評価は依然として高い。なぜそれほど高いのか、それはやはり題材のせいだろう。少年誌において、はじめからこれほど明るいとは言えない内容、いきなり無茶をして手痛いしっぺ返しをくらう主人公、将兵、敵味方(と書くべきではないのかもしれないが)、それぞれ双方の思いを丁寧に描いた戦争描写。これらはファンタジーや少年漫画に欠けている重要な要素なのではないかと思う。

ただ主人公が自分勝手な正義のために暴れ、怒れば終了なだけの少年漫画やファンタジー。それらに比べれば、上記のような批判はあるにせよ、十分読む価値の高いものだと判断する。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-07-07 01:30:47] [修正:2007-11-24 18:16:58]

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