あらすじ
羊の群れに紛れた狼はさみしい牙で己の身を裂く・・・
高城一砂は幼い頃に母を亡くし、父親の元を離れ、父の友人である江田夫妻の元でごく普通の生活を送っていた。しかしある日、何かに導かれるようにかつて両親と暮らしていた家を訪れ、実の姉である高城千砂と再会する。
そこで一砂は父の死を告げられ、高城家の「病」の事を聞かされる。 その病とは吸血鬼のように発作的に他人の血が欲しくなり、理性をなくして他人を襲うという奇病であり、千砂自身もその病に冒されていた。この病は一砂にも発病する可能性があるが、男子は発病する確率が低い為、志砂により江田夫妻のもとに預けられていたのだという。
だが、既に一砂は発病していることを感じていた。一砂は再び千砂のもとに訪れ、そのことを打ち明ける。そんな一砂に千砂は発作止めの薬を渡す。しかし、一砂は発作を起こしても発作止めの薬を飲もうとしない。そんな一砂に千砂は自らの手首を切り血を与えようとする。
同じ病に苦しみ、自殺した父の面影を追い求め他人を遠ざけて生きる千砂と、大切な人たちを守るため他人を遠ざけようとする一砂。 やがて2人は寄り添うように2人暮らしを始める。
この漫画のレビュー
8点 Sealさん
発作的に他人の血が欲しくなる奇病に侵された姉弟を軸に物語が展開する。
病に苦悩する2人の心理描写に説得力があるので、実際には無い病気だろうけどリアリティがある。
やがて姉弟は外との繋がりを絶ち、2人だけの世界でお互いに依存して生きて行こうとする。そこにいたるまでの展開が切なく、哀しかった。しかし愛情にも似た感情でお互いを思い合う姉弟の姿は美しい。
そんな2人を理解し外界との繋ぎ役をする友人達の存在はこの物語の救いだった。特に八重樫の一途な愛情が良い。多くの漫画の中でも最も好きなヒロインの一人だ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-06-12 19:45:57] [修正:2008-06-12 19:45:57]