あらすじ
羊の群れに紛れた狼はさみしい牙で己の身を裂く・・・
高城一砂は幼い頃に母を亡くし、父親の元を離れ、父の友人である江田夫妻の元でごく普通の生活を送っていた。しかしある日、何かに導かれるようにかつて両親と暮らしていた家を訪れ、実の姉である高城千砂と再会する。
そこで一砂は父の死を告げられ、高城家の「病」の事を聞かされる。 その病とは吸血鬼のように発作的に他人の血が欲しくなり、理性をなくして他人を襲うという奇病であり、千砂自身もその病に冒されていた。この病は一砂にも発病する可能性があるが、男子は発病する確率が低い為、志砂により江田夫妻のもとに預けられていたのだという。
だが、既に一砂は発病していることを感じていた。一砂は再び千砂のもとに訪れ、そのことを打ち明ける。そんな一砂に千砂は発作止めの薬を渡す。しかし、一砂は発作を起こしても発作止めの薬を飲もうとしない。そんな一砂に千砂は自らの手首を切り血を与えようとする。
同じ病に苦しみ、自殺した父の面影を追い求め他人を遠ざけて生きる千砂と、大切な人たちを守るため他人を遠ざけようとする一砂。 やがて2人は寄り添うように2人暮らしを始める。
この漫画のレビュー
10点 yone9085さん
文句無しで傑作でしょう。
一砂と千砂の出会いから、病状の悪化、エスカレートする二人の関係、
二人を取り巻く周りの人々、そして最終回。
全てが完璧でした。他に類を見ないほどの完成度です。
何より、この漫画には「悪人」と呼べるようなキャラが一人もいません。
登場人物全員が優しく、全員が他人の為に全力を尽くします。
しかし、それでも二人の病状は快方に向かわず、
全員が苦悩し、二人を(orお互いに)救おうとします。
この作品の雰囲気は暗く、ひっそりとしているのですが、
それだけに優しさに溢れている作品だと感じました。
何よりも最終回が素晴らしいので、
冬目先生の他の作品でも気長に期待しています。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2006-03-08 22:02:33] [修正:2006-03-08 22:02:33]