ホーム > 青年漫画 > スーパージャンプ > 狂四郎2030

7.93点(レビュー数:58人)

作者徳弘正也

巻数20巻 (完結)

連載誌スーパージャンプ:1997年~ / 集英社

更新時刻 2012-01-19 13:35:22

あらすじ 西暦2030年、男女隔離政策下にある近未来日本に密かにインターネットを通じて結婚した一組のカップルがいた。狂四郎と志乃ことユリカ。
その世は性欲を抑えるため、ポリゴンによるバーチャセックスが主流になり、国民はこれによる奉仕に満足し、逆にそれを手にするために働くようになった。
第三次世界大戦後の死滅へと向かう国家の話であると同時に、ただ二人が愛し合ったというそれだけを証明するだけの話。

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この漫画のレビュー

9点 白い犬さん

[ネタバレあり]

この作品は非常に完成度が高い。しかしマイナス点をつける人の
大半は「下品」「エロ描写が多すぎる」ということを
いっている。個人の感想なのでそう感じてしまうのはそれでいいことだ。
私が思うに、この作品が下品なのは徳弘テイストのお約束的下ネタギャグは仕方ないとして性描写の多さは「セックス」という肉体の繋がりが物語の核になっているからだと思う。(読者サービスもあるのだろうけど)
男と女が隔離されて人口制限されている近未来。セックスは政府の管理下におかれている。個人と個人の結婚、セックスは権力者のみの特権である。そんな世界でエリカは権力者により性的人権を踏みにじられ、
またプログラマーとして数々の男のむきだしの欲望を目の当たりにして
絶望の世界の中生きていた。そしてその世界からエリカを救ってくれたのは狂四郎とのセックスなのである。セックスで貶められた精神を癒せるのはセックス、という矛盾のようだがセックスの生殖目的以外の意味の二面性をSFという設定の中でよくぞうまく表現したものだと思った。いや、男女完全隔離というSFの世界だからこそ描けたのかもしれない。
物語は複雑化して政府を狂四郎&バベ+エリカが倒すことを期待した人にとってはようやく二人現実世界で出会って本部から抜け出しておしまい、という展開は納得がいかなかったと思う。(タイムマシンの伏線も
ほったらかしだし)徳弘の手腕なら狂四郎達がこのあと政府を転覆するくらいのストーリーが描けたと思う。でも徳弘はあとがきに書いているが物語はロミオとジュリエットであってあくまでもラブストーリーとしてのハッピーエンドを選んだ、とあった。たぶん徳弘本人も相当迷ったのではないかと思う。
でもはじまりがラブストーリーであったこの作品を途中作者が社会派に目覚めて風刺しだしたりするより(そういう漫画、長期連載だとたまに見かけますよね)いさぎよくラブストーリーで締めたことで私はすっきりした。めでたしめでたし、というところです。



あと下ネタのない徳弘漫画なんて牛肉抜きのスキヤキみたいなもんですよ。


それにしても、ここまで設定が完成されてると
ハリウッドあたりがしれっとぱくりそうですね。
ほら、ハリウッドって日本の漫画やアニメから
設定とかなにやらけろりとアイデア盗むじゃないですか。
なんて余計な心配してみたり。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-12-08 17:35:18] [修正:2007-08-07 15:24:15]

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