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6.62点(レビュー数:8人)

作者加藤伸吉

原作杉元伶一

巻数4巻 (完結)

連載誌モーニング:1993年~ / 講談社,太田出版

更新時刻 2009-11-25 06:39:29

あらすじ 日本国憲法 第12章 国民クイズ (国民クイズの地位)
第104条 「国民クイズは国権の最高機関であり、その決定は国権の最高意思、最高法規として、行政、立法、司法、その他あらゆるものに絶対、無制限に優先する。本憲法もその例外ではない。」

近未来、日本は民主主義を捨て、国民一人一人がクイズ番組での合格によって特権を勝ち取る異形の全体主義国家となっていた。「国民クイズ」という番組で勝利すれば、どんな願いも実現される、国民クイズ体制。リスクも大きく、高望みする者ほど優勝までの獲得ポイントは困難なものとなるし、敗者は財産没収やシベリアでの強制労働等、過酷な刑罰を課せられることに。
それでも参加者は自分の残りの人生すべてを賭けて、クイズに参加していく。そして今夜も「国民クイズ」が始まる。

備考 講談社より出ていた単行本が絶版。後にファンの要望によって太田出版より全2巻の愛蔵版が発行された。

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この漫画のレビュー

7点 とろっちさん

民主主義はもういらない あなたのための全体主義

国民クイズは、国政にあなたの意見を反映させる唯一の手段。
優勝者の望みは国策となり、日本国政府がその威信をかけて叶えさせる。
どんな願いでも構わない。だって勝者は絶対だから。

国民クイズの司会を務めるK井K一は、国民を熱狂させ、支持率98%を誇る、言わば国民的スター。
輝かしいポジションにある彼だが、実はクイズの敗者であり、強制無償労働で司会をさせられていた。
司会をしていないときは拘束着を付けさせられ、独房に収容される日々。
そんな彼の本心は、彼にしかわからない。

この作品がマンネリ化に陥りそうな感じになってきたとき、話が大きく動く。
反国民クイズ体制派が他国と共謀し、革命を企てる。
K井K一の別れた妻、そして残された娘を巻き込んで……。
日本は、国民は、どこに向かって動いていくのか。どこに向かえばいいのか。

とにかく単純明快な作品です。でも扱っているテーマははもの凄く深いです。
ぶっ飛んだ設定。妙なテンション。パワフルで、ストレートで、強烈なメッセージ性。名言たっぷり。
当時(あくまでも90年代初頭)の日本や世界情勢を皮肉った、でも現在にも通用する展開。
打ち切りになってしまったらしく、後半がドタバタで駆け足だったのが残念。
名作になり得ただけに何とももったいないです。
それも含め、人によって評価が大きく分かれるかもしれませんね。
個人的にはこんな時世だからこそ読みたい作品だと思います。 怪作。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-07 21:00:21] [修正:2010-06-07 21:33:00]

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