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C


6.5点(レビュー数:2人)

作者きたがわ翔

巻数10巻 (完結)

連載誌週刊ヤングジャンプ:1991年~ / 集英社

更新時刻 2011-04-28 00:46:19

あらすじ ショートストーリー全四編。

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この漫画のレビュー

6点 とろっちさん

“Message to Complex People”
どこかしら、何かしらにコンプレックスを抱えた人々が織り成すオムニバス形式の作品です。
それぞれの話がつながっているわけではなく、中編作品の集合体のような珍しい作品。


「男性失格」
確かに主人公の性格はいつものきたがわ漫画ですね。
展開もありきたりではあるものの、90年代初頭ラブコメとしては上手く描けていると思います。
作品全体の雰囲気は、当時のトレンディードラマ(死語)のような感じ。
ただしコンプレックスが全体のテーマならば、もっと前面に出していかないと。
コンプレックスうんぬんに関係なく、単なるヘタレの兄ちゃんのベタなラブコメと化してしまっています。

「マゼンタ・ハーレム」
狂ったような世界観と、鮮やかに彩られた情景描写。そして名画をモチーフにした数々のイメージカット。
全般的に絵画を意識して描かれたであろう絵柄が、ダークでポップな作品の雰囲気と見事に調和して、
週刊連載とは信じ難いぐらいのクオリティと凄みを感じさせる出来に仕上がっています。
才能がありながらもコンプレックスの塊のような歪んだ主人公と、真っ直ぐで快活なヒロイン。
絵画っぽく色で例えるなら、ダークグレーの主人公と、鮮やかなオレンジのヒロインか。
絵の具ならばこの2色が混ざっても汚い色にしかなりませんが、これは漫画。
2人の色が混ざり合い、溶け合って、読者に全く違う色を見せてくれます。
それがマゼンタなのかどうかは読む人次第。

「モンロー・ジョーク」
今度はうって変わってアメコミを彷彿とさせるような絵柄で、弾けた雰囲気のコメディ。
思えば自分がYJを読み始めたときに載っていたのがこれでした。
ただし作者がおまけページで書いているように、この手のジャンルはかなり不慣れな感じ。
常にハイテンションのノリや痛いギャグなど、無理やり感が作品全体に漂っています。
だいたい「C」はComplexのCだったはずなのに、この話のどこにコンプレックスが絡んでいるのか不明。

「ほんとうの行方」
青春もの。
内容がコテコテかつ綺麗にまとめすぎな気もしますが、ストレートで面白かったです。
作者によると紡木たくっぽさを取り入れたかったらしいですが、それについては明らかに失敗かと。


時代を色濃く切り出した作品は色褪せてくるのも早いです。
この作品でもモンロー・ジョークなんかはその傾向にあり、今だとかなり時代を感じてしまうかも。
ただそうは言っても、作者の脂が乗りきっている時期だけに全体的に作品の質は高いです。
あとこの頃の作者の絵柄はものすごく好きですね。
男性失格が一番人気だったそうですが、個人的にはマゼンタ・ハーレムが一番でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-28 00:46:38] [修正:2011-04-28 00:46:38]

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