ホーム > 不明 > 別冊少年チャンピオン > ブラック・ジャック創作秘話 〜手塚治虫の仕事場から〜

7.3点(レビュー数:13人)

作者吉本浩二

原作宮崎克

巻数5巻 (完結)

連載誌別冊少年チャンピオン:2009年~ / 秋田書店

更新時刻 2012-01-22 02:01:44

あらすじ 漫画史にきらめく不朽の名作「ブラック・ジャック」!! “漫画の神様”手塚治虫先生の創作の現場を関係者の証言で再現するマンガ・ノンフィクション!!

備考 2巻より掲載を別冊少年チャンピオンに移籍。

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この漫画のレビュー

8点 臼井健士さん

漫画を楽しむ人間の多くは手塚先生の影響の延長上にあるといえると私は思う。
例え一度たりとも手塚作品に触れたこともない読者がいたとしても、他の作品のほぼ全てが
「手塚作品の影響下にある」からだ。
もっと言えば今日の日本の漫画の隆盛も「手塚治虫抜きでは語ること出来まい」。
だから現在連載中の漫画作品のほぼ全てが「手塚作品の落とし子である」とは言えまいか。

そんな漫画の神様も自身が起こしたアニメ制作会社の経営が破綻したときにはスランプに陥り、長い冬の時代だった。
手塚ももう終わり・・・・そんな声が囁かれていたという。だが、神様は復活する。
自らも医師免許を取得している神様は「ブラック・ジャック」で無免許医師を主人公にして大ヒットを飛ばした。
そんな手塚に連載誌の担当者は〆切を守らせるために夜を徹して張り付いていた。
売れっ子になった手塚は8本の連載を同時に抱える多忙。

しかし手塚の〆切はなかなか守られず、出版社では「手塚番」という専属担当がいたほど。
無茶苦茶なスケジュールに無茶苦茶な仕事量とくれば、連日の徹夜作業が常。
手塚先生は「面白くない」と判断されれば、全ページを全く違う話に描き直すような編集者泣かせの漫画家だった。
この過労が結局のところ先生の寿命を縮めることになったのかもしれない。
本当なら80?90歳まで生きられていたはずが、60歳で胃がんのため死去する。

そして、漫画以外にも「アニメーションに対する情熱」は生涯冷めなかったらしい。
晩年まで新作を世に送り出したいと望み、奔走した。
だが、いざ出来上がってきた作品は「リテイク(撮りなおし)の連発」で、スタッフを泣かせたそうだ。
クリエイターとして「読者や視聴者を楽しませること」に対して妥協が出来ない人だったんですね。

多くの人間に影響を与えた手塚氏は新人や自分よりも人気のある漫画や漫画家に対する嫉妬心・敵愾心も凄かったそうである。
「人間臭い神様」。でも、そんな先生を悪く言われたことのある多くの人も尊敬し、慕っていた。
「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる水木先生よりも年下なんですよね。水木先生は現在もご存命だから、手塚先生も今尚生きて作品を生み出されていた可能性だってあったんです。
でも確実なこと。60年の生涯で世界中の人々に夢や希望を与え続けた。いや、その死後から現在に至るまで変わらずだ。
並の人間が100年掛かったとしても到底出来ないことを成し遂げた先生の生涯は・・・・傍から見たら「素晴らしい成果」なんですが・・・・
ご本人は「まだまだやりたいことがたくさんあった」になることは間違いないという総論になりますね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-12-17 01:35:36] [修正:2011-12-17 01:35:36]

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