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8点(レビュー数:1人)

作者くらもちふさこ

巻数3巻 (休載中)

連載誌コーラス:2010年~ / 集英社

更新時刻 2011-05-08 12:16:19

あらすじ 比々羅木神社の息子・圓城陽大は兄・陽向、従姉妹の雛と共に弓道に励んでいた。神社の隣の畳店の娘・宗我部花乃は、陽大の流鏑馬姿を見て心を打たれて弓道を始め、現在は圓城兄妹と共に倭舞中学の弓道部で弓を引く日々。しかしある日、比々羅木神社の宝物殿から出火、その中には・・・!?
 

備考 「駅から5分」の登場人物を別の視点から描いたスピンオフ作品。
 

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花に染むのレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

8点 booさん

「駅から5分」の登場人物、生徒会長こと圓城陽大を花乃の視点から描く駅から5分のスピンオフ作品。

駅5はオムニバス形式の作品ながらも陽大が明らかに一際違う存在感を放っていることが気になっていた読者も多いでしょう。駅5で雛が言っていた「彼は史上最悪の良い子ですから」の意味や陽大の雛に対する微妙な関係性、神社で倒れた男性の「決まった人がいると思ったんだだけどな」という雛に対する台詞など色んな伏線の意味、陽大と雛の過去が花に染むでは語られていきます。

相も変わらずくらもち先生の進化は止まりません。元々行間を読ませて心情の機微を表現するのが得意な方ですが、こんなにミステリアスなおもしろさのある作品を書けるとは。陽大の真意、雛の思惑はどこにあるのか。何気ないような台詞、表情まで見逃せず、とことん考えないと分からない。タイプは全く違いますが、BLAME!と並んで知的好奇心をびんびんに煽ってくる作品です。
恐らく最初読んだ時は陽大と誰がくっつくのか気になるかと思います。しかし読み込んでいくと花に染むの真のおもしろさはそこにはないことを気づくはず。別にくっつかなくてもいいし。
絵も駅5から少し変化しました。弓道の場面は必見。弓をひく時のそこだけ切り取られたかのような静謐さ、そして矢が空気を切り裂いて勢いよく的に突き刺さる。見入ってしまうほど美しい。

この人ほど作品ごと、時代ごとに作風が異なる人を私は松本大洋くらいしか知りません。それほど完成という言葉から遠く、常に実験的な姿勢を維持し続けている人です。だからこそこれだけ長い間評価され続け、最先端に立ち続けているのでしょう。

これ単体でも十分読めますが、駅から5分と併せて読むと120%楽しめます。ローラはもちろん、ちょこちょこ駅5のキャラが登場しますし、また視点が違って興味深いです。雛なんてもう別人ですよ。
作中で説明されるのではなく、自分で作品から読み取って考えるからこそピースがはまっていくこの感じ、中毒性のあるおもしろさがあります。スピンオフの上にその独特の作風から敷居は高いかもしれませんが読まないでいるのはもったいないです。ぜひぜひどうぞ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-18 00:34:43] [修正:2011-08-18 01:43:17] [このレビューのURL]


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