ホーム > 不明 > 海外作品 > アダムス・ファミリー全集

8点(レビュー数:1人)

作者チャールズ・アダムス

巻数1巻 (完結)

連載誌海外作品:1937年~ / 河出書房新社

更新時刻 2011-11-04 20:24:37

あらすじ 朽ち果てた屋敷に住む、謎の美女モーティシアたちアダムス・ファミリー。ドラマ化・映画化もされ世界中で愛されるその原典が本邦初出版! 未発表作を含む全作品とともに、詳細な解説付き。

シェア
Check

アダムス・ファミリー全集のレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

8点 booさん

アダムス・ファミリーという名前は大体の人は聞き覚えがあると思う。そもそもこの作品が著名になったのは映画やドラマの影響が大きいみたい。私は世代的にどちらも見ていないからやはり名前くらいしか知らなかった。
じゃあ何で買ったの?と思うかもしれない。実を言うと「ファン・ホーム ~ある家族の悲喜劇~」を読んでいて、アダムス・ファミリーの話題が出てきたのだ。何となくおもしろそうな予感があった。

で、その少し後全集が刊行予定と聞いて購入を決めたわけ。
結論から言うと、すげぇ良かった。こんな家族いたらいいよねぇ。絶対隣人には欲しくないけど。

「考えてみたらすてきじゃありません? この子たちの幸せな子供時代のひとこまを、こうしていつまでも見られるなんて」

一家の母がこんな台詞を言う作品を例に挙げてみよう。
一見家族がみんなで映写機で子ども達の活躍を見ていると言う微笑ましい光景に思える。しかし映写機に写っているものを良く見ると、何と家に来た郵便やさんを子ども達が縄で転ばせようとしているではないか!
アダムス・ファミリーというのはこのような捻った毒のあるカートゥーン、一コマ漫画なのだ。

これ程ブラックな作品なのに、愛おしいのは何故か?
それはやはり本人達が大真面目だからだろう。毒があると言っても、嫌がらせや悪趣味な作品では決してないのだから。

「今不幸せかい?」「もちろんよ!」

という仲睦まじい夫妻の会話が示すように、彼ら一家は不幸せを尊び、異端を愛する。悪趣味でやっているのではなくて、彼らは好きで好きでしょうがなくてやっているのだ。
例え世間からは彼らが変に思えたとしても、彼らは世間を変に思っている。優等生名簿に載せられたといってウェンズデー(一家の長女)は泣き、先生から警告の手紙が来ると夫妻はパクズリー(一家の長男)を褒める。

そう、世間の価値観を抜きにすると彼らは理想の家族に思える。そして彼らの価値観と世間の価値観のずれがおもしろさを生む。にやにやしながら見てしまうのだけど、もう自分でも微笑ましくて笑っているのか毒にやられているのか分からない。

チャールズ・アダムスのアートも素晴らしい。ティム・バートンが影響を受けたの言うのも納得の美しさ。ゴシックで、毒があって、ホラーな世界。こんな所にアダムス・ファミリーは暮らしている。

いやー、本当に最高だよ?この全集。迷っている人はぜひ買うべき。詳細な解説も編集の方の愛だよなぁ。

にやにやしながら眺めて良し、チャールズ・アダムスのアートに見惚れるも良し。こんな個性的な面々の家族がいたらいいなぁと思いつつも関わりたくはないなと思うのだった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-11-04 20:31:35] [修正:2011-11-04 20:31:35] [このレビューのURL]


アダムス・ファミリー全集と同じ作者の漫画

該当なし

チャールズ・アダムスの情報をもっと見る

同年代の漫画

該当なし

海外作品の情報をもっと見る