「のりたまごん」さんのページ

総レビュー数: 4レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年02月18日

[ネタバレあり]

最近、今一度読み直しました。

改めて、素晴らしい作品だな〜〜と感動!してしまいました。
この作品は文句なしの10点満点です!!

第1巻から最終巻まで、全く飽きさせることなく読破できます。
馬産地の日常を淡々と描きつつも、それを丹念に積み重ねて行く事によって、競走馬や馬産農家の日常にいるような楽しさが味わえ、それに携わる主人公・駿平、ヒロイン・ひびきの生活に平凡且つちょびっとずつ小さいドラマが積み重なって、そんなにドラマティックでないけど、最終的に環境がドラマティックに変化してる。
大方の人の人生って……こんな人生なんだと思う。

そう考えると、非常に上質に生きるための日常を描いている作品といえると思う。


読み直してみて改めて思ったのは、主人公は駿平に違いないんだけれど、心の成長はひびきが中心に据えられているように思う。

登場当初は、ボーイッシュで馬を愛しているちょっと偏屈な女の子。
駿平と一緒に時間を過ごす中で彼が空気のような必要な存在になっていき、更に真理子の出現やたづなとの絡みで彼への関心が恋心へと具現化し自覚する。
その恋心もひびきからの告白で恋愛へと昇華しお互いに求め合うほどになったかと思えば、初めて人を好きになった故か自分の心の変化に戸惑い消化しきれず、ジレンマに陥る。
結果、子どももできちゃって、その心の揺れや親との衝突もあり、その中をたくましく母親へと変化していく。

ボーイッシュな馬乗り少女から、恋するただの女の子へ、そして大人の女への(言い過ぎか?)心の変化が、実によぉ〜〜〜〜く描けています。
だからこそ、後半の「凜として」いないひびきを快く思わない人がいるのも理解できますが。私は、これはこれで大正解だと思います。

ここらへんのこと……恋愛に関しても、人間関係に関しても、競走馬のことに関しても、前を向いて生きていくことに関しても、殊更に誇張することなくしっかりと書いていることが、この作品の何よりも素晴らしい事だと思います。

そんな上質なヒューマンドラマを、ストライクイーグルをはじめ競走馬の一生をからめて実に緻密に飽きることなく描ききっている。
レースシーンとかも、よーーーーく描けてて迫力ありますよ。


この作品は、単行本もしくは文庫本で、一気に、そしてじっくりと読んでこそ、その面白みがでてくるのではないでしょうか??

こんな作品をマンガという形で世の送り出したゆうきまさみ氏も素晴らしい!
(マンガという形だからこそ、成し得たかも知れない)
また、その作品を少年誌という土俵で、連載し続けた「サンデー」編集部にも絶賛を与えたいと思います!!

もっともっと、時代を超えて評価が広がっていってほしい!そう思えるマンガです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-02-18 00:30:03] [修正:2009-07-06 21:59:51] [このレビューのURL]

10点 逆光の頃

初出で読んだ時に、強い衝撃を受けた。

白黒の映像美。

甘い、切ない、バランスを崩しそうな、少年から青年に登る頃の不思議な感覚。
夕暮れ時の逆光の世界で。
読むと、その頃に逆戻りしそうだ。

発表当初、よく「ガロ的」とか「つげ義晴的」と評された二次元的なベタな画質だけど、奥行きのある空気感。
京都には住んだことはないが、その町並み、山並み、路地裏、林の中を、自分が歩いているようだ。
ストーリー性よりも、その空気を楽しむ叙情詩的な作品。
日本漫画界のアンドレイ・タルコフスキー?
それは言い過ぎか……。

1話目は、血のつながりのない姉弟の話。
2話以降は、中学生、赤田孝豊を主人公にした淡々とした日常。

マンガを超えた映像美だとホントに思っている。
もう発表されて、丸20年になるんですね。
オークションとかで超高値で取引されているのでびっくりしました。

タナカカツキは、それ以降はバカドリルとか書いているんですね。
通じるところもあるけど、内容的には全く別人のようです。

皆さん是非読んでみて下さい。

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[投稿:2009-04-16 16:54:09] [修正:2009-04-16 16:57:35] [このレビューのURL]