「bavaroi」さんのページ

総レビュー数: 3レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年08月18日

浦沢さんの癖として、本筋をストップさせている間に新たな主人公なりテーマを投入して読者の興味を持続させることに一旦は成功するが、結果終盤に入ってそれらの寄り道が肝心の本筋の解決を阻害してしまい、話が回収しきれずに終わってしまうというのがあると思う。
序盤は、浦沢さんのこの作品に入れ込むパワーが伝わってきた。徐々に「ともだち」の勢力が広がっていくあたり、今の社会ともリンクするところがあってぞっとするリアリティもあった。が、中盤以降はさすがに一般市民はそこまでバカじゃないだろうというくらいお話が荒唐無稽な方向に広がりすぎてしまった。無駄なく展開させて話をリアリティのあるサイズで終わらせるなら、10巻くらいが限界だった気がする。
キャラクターのなかでは個人的にオッチョが好きだったのだけど、数々の修羅場をくぐりぬけてきた一見強いけれど優しいオッチョをわりと簡単に泣かせてしまったりとか非常にもったいない。オッチョが泣くならそれなりのクライマックスを用意してほしかった。
ケンヂも、登場を引っ張りに引っ張った末に、歌で何もかも解決はさすがにひどいだろう。私には彼が救世主のようにはどうしても見えなかった。オッチョやカンナ、ヨシツネらのほうがよほど頑張っていたではないか。
せっかくこんな風にキャラクターの魅力に入れ込めるところまで中盤持ってきてくれたのに、本当に残念だ。

浦沢さん、次は話の幹から絶対に逃げずに、最後まで描ききってください。

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[投稿:2009-08-18 14:33:35] [修正:2009-08-18 14:33:35] [このレビューのURL]

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