「ぷたりう」さんのページ

総レビュー数: 7レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年10月14日

[ネタバレあり]

この作品は「ヒミズ」とセットで読むべき作品だと思う。

この作者は「どのように自分という“理由なき”存在を引き受けるか」という問いをテーマにしているようにみえる。
初期のギャグ作品にもかいま見られるこのテーマは,青年期に一番鋭く問題化されるが,基本的には生涯続く問いであろう。

そのテーマをかなりはっきり提示したのが「ヒミズ」と「シガテラ」。主人公の家庭環境はまったく正反対であり,結末がその生い立ちに起因するかのように明暗を分けているのが気になるが,2人ともここではないあちら側の世界にジャンプできるか,落ちるかという危うい状態の中で葛藤している点は共通。白黒はっきりした場所に身をおけない,つねに決定的なリスクと隣り合わせの現代に生きる若者の不安や所在なさを描いている。

しかし,これらのテーマは今まさに「青春ど真ん中」にいる人には伝わりにくいかもしれない。現代に生きる30歳以上の人ならば,これら一連の作品を客観的に読むことができ,より共感できるのではないか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-10-14 11:40:38] [修正:2007-10-14 11:40:38] [このレビューのURL]