「よつや」さんのページ

雰囲気漫画だと思います。
全編を通して暗い雰囲気が漂う漫画です。こういう世界観が好きな人にはよろしいかと。

個人的にそういった雰囲気は好きですし、話の設定も面白いんですが、それだけで終わっているのが悲しい。
好きですけど、いまひとつって感じですかね。

吸血病があることにおける心の葛藤や、死に対する恐怖、生への執着などの描写が弱い。
なんか弱い。
あるいは吸血という、狂気のフェチシズムをもっと描いてもよかったかも。

こういった作品はそのような汚くて醜い鬼気迫る心理描写をもっと表現しなくてはいけないと思う。
また、そんな人間の暗部を逆に美しく、愛おしく表現することが芸術なんだと思う。

それが絵画や小説、映画にできていて、漫画が未だ到達できていないことの一つではないでしょうか。
(絶対数が少ないというだけで、もちろんそれが表現できている作品もあると思います。)
それを見事に表現できる漫画がそれなりに出れば、漫画という文化の可能性も広がると思う。
個人的に、漫画が娯楽の域を超えられない理由は、一つとしてそれにあると思います。

作者はそのようなものを出そうと努力していましたが、如何せん弱い。
そういった表現不足が、結果的にライトな最終話を導いてしまったのでしょう。

漫画の未来のために頑張れ!

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[投稿:2009-05-20 03:08:05] [修正:2009-05-20 03:08:05]

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